TOP 読者の声 『独学の冒険─浪費する情報から知の発見へ』(礫川全次著)を読んで

『独学の冒険─浪費する情報から知の発見へ』(礫川全次著)を読んで

独学の冒険

購入したばかりで未だサラーとしか読んでいませんが、自分の研究がこれで良いのか、方法が誤っていなかったかを考えさせる良い本です。フラーと浮かんできた3つの事をまず上げさせていただきます。
1.(103頁)佐藤忠男、新潟出なので直接お話をうかがったことがあります。働きながら、せっせと映画館に通った。初めて観たアメリカ映画、そこに出演していた女性の尻の大きさや健康さにカルチャー・ショックを受けたこと。(こんな大国と戦争するなんて)と。
2.(21頁)家永三郎と植村清二のお二人に教わったという複数の方からお話を聴いたことがあります。それは正に(83頁)自分が真に学ぶべき「ひとり」との出会いかと思います。植村先生、チョーク1本で板書、左から右へ、「香水が来た道」を講義していたそうです。
3.(86頁)千葉徳爾、何年か前に福島県いわき市において、当地(いわき)の民俗学者高木誠一のこと、オシラサマのこと、同調査のため、ネフスキーが高木家を訪ねてきたことなどを語るのを聴きました。
さて、昨今の民俗学はどの方向へ進んで行くのでしょう。資料のいじくり回し、村々に入っていろいろ聞き取り調査報告書という文字にまとめてそれで終了、ただの死亡報(宣)告書い過ぎないのではないかという疑問もあります。「異端の民俗学」(169頁)赤松啓介の言う解放の民俗学であらねばと、その姿勢が今こそ必要と思うようになりました。
本来豊かな農村が大きく変わりつつある。過疎の進行、共同体(162頁:共同体の捉え方、私も誤っていました)の崩壊が語られる今、豊かさを保つにはどうしたらよいか。
本書(『独学の冒険』)は、方向を見失いがちな、また、孤立しがちな私にとって足下を輝らす光りとなりましょう。(157頁中程)「民俗学などは、基本的に独学で学ぶ」には安心しました。
追記1.(140頁)佐々木喜善についてのっていましたが、彼と親交があった本山桂川も独学の人かと。「佐渡郷土趣味研究」に寄稿していますが、興味があります。
追記2.雑誌「歴史民俗学」は見させていただいています。1号「野口英世の母の家観念」について興味深く読みました。シカの夫、シカの父、彼ら男たちの脱出志向はなぜ、猪苗代の近くに夫の実家が残っていますが、見るだけではよく分からない。その「なぜ」を先の農村とは......に関連づけて考えてみるヒントを与えて下されました。続編を期待しているところです。
3.しゃぐじ神とは、これまた興味を惹きつけるものです。伊勢から三河へ、そして諏訪以前へ。ここ越後にも天白神社がいくつか有ります。パク、シラはオシラサマに繋がるのかどうか、今後の課題です。
4.本に綴じ込みの出版情報から、森達也(新潟出、死刑制度についてノルウエーとの比較で語っていたのを聴きました)+礫川全次『宗教弾圧と国家の変容』を発見、次に読む本と決めました。とりとめもなく失礼します。
(金城清一様・新潟市西区在住より)