宿業の思想を超えて?吉本隆明の親鸞
芹沢俊介著『宿業の思想を超えて?吉本隆明の親鸞』を購読しました。親鸞は意識して悪を造る<造悪>を制止しました。つまり、、<意図された悪>にたいして浄土の真宗はどう対応するか。これが造悪論において親鸞(吉本)が当面した最後の問題でした。 親鸞にとって悪とはあくまでも「行為としての悪」であり、行為を離れることはなかった。ところが吉本は悪を「意図された悪の行為」と考え、「意図」と「行為」を切り離してしまったのです。親鸞は「業縁」という普遍悪を免れる方法として「意図」を浄土の規模にあずけてしまう「自然法爾」に到達します(「ひとえに本願をたのみまいらすればこそ、他力にてそうらえ」)。 ところが、吉本は「業縁」をコントロール不可能性(関係の絶対性)ととらえ、新たに「存在倫理」を提起し規定します。一方の正義の主張(意図)は「存在倫理」に向かって開かれなければ他の一方を不正義とする主張(意図)となって顕現すると吉本は考えたのでした。 吉本親鸞の思想的解読をしたすぐれた一冊でした。 (2013年1月22日 福岡市・寺西純二様よりお送りいただいた読者カード「批評アングル」より)書籍を探す
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