TOP 読者の声 『「孤独」から考える秋葉原無差別殺傷事件』を読んで

『「孤独」から考える秋葉原無差別殺傷事件』を読んで

『「孤独」から考える秋葉原無差別殺傷事件』

本書は、加藤智大の生育史と、両親との関係を重点的に分析した、現段階での最高の論評。ただ2点に?マークがつく箇所があった。
一つは、加藤が死を怖れていないという文章(135頁)。彼はやはり死を怖れているいるのではないか。あの大量殺傷者を道連れにしたのは、自分一人では死が怖くて死ねなかったことは紛れもない事実であり、本当に死が怖くないなら潔く自殺していた。彼の何度かの自殺未遂も、未遂までしかやれなかった、という死の恐怖の証左でしかない。
もう一点は、加藤の父親のコメントについて、「こういうコメントでしたら、しない方がよほどいい」と高岡氏は言っているが(139頁)、逆に父親の存在こそが、母親の「狂気」にも似た暴走を許したのではなかろうか(父親のコメントがあるから、我々はそのように理解できるのではないかと思う)。
また、このような親子関係の異常さは、昨今のいじめ問題とも根を同じくしていて、そもそも無条件で親が子を抱きしめるような家庭からは、友達を死に至らしめる程にもいじめを繰り返す子供が生じる筈がない。そしてこれは一家族の問題だけではなく、政治や社会の貧困、ひいては、世界的レベルにおけるいびつさと無縁ではないのだ(例えば、シリア内戦、アメリカの銃による大量殺人を見ればあきらかではないのか)。
(東京都・町田市 高橋与四男様より)