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非器の城

  • 新井 勉
  • 価格 1500+税円
  • 判型:46判、340ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0721-9
  • 初版発行年月 2021年3月25日
  • 発売日 2021年3月27日

内容紹介文

五代将軍徳川綱吉、
登場する。
これより世に
不幸を撒き散らす

時は元禄前夜、老中堀田備中守の策謀により、徳川綱吉が五代将軍として、歴史の舞台に登場する。凡人にして尋常ならざる性格の綱吉は、手にした権力を恣(ほしいまま)に行使し、御三家に並ぶ名門、越後高田の松平家を忽(たちま)ちにして改易(かいえき)する。
さらに、大目付渡辺大隅守を大老酒(さか)井(い)雅楽頭(うたのかみ)の身代わりとして八丈島に流罪に処する。水戸光圀はこれを見て、江戸城は「非(ひ)器(き)の城」になったと嘆いたのだが......。


「城兵と寄手との矢合は開かれぬ、河内諸方面より続いて天王寺、茶臼山、庚申堂、勝曼院等の激戦、悉く城兵の敗れとなりて、豊公が此城を築造したる後、三十三年後の五月七日、秀頼の近臣大角某の為に、本丸の台所に火は放たれぬ、あはれ天下の名城と呼ばれたる本丸の殿館、千畳敷、天守矢倉、皆灰燼となりて失せぬ」
渡辺霞亭『大阪城』より
* * *
【読者の皆さまへ】
江戸時代の社会は、今の社会と全く異なります。ごく一般的な事項は、前以て説明しておくと、紙幅の節約になります。
〇年齢
年齢は、生年を一歳とし、年が改まるたびに一歳を加えます。これは今の満年齢の数え
方より一歳、ないしは二歳近く歳がふえます。
〇暦法
暦法は、月の満ち欠けを基準にして作成された陰暦です。わが国は、平安の昔に唐より伝えられた宣明暦を長く使ってきました。これに対して貞享二年(一六八五年)一月より施行された貞享暦が、わが国の最初の暦です。どちらの暦も今の陽暦より一月ほど季節がずれます。十九年に七度、閏月のある年は季節のズレが大きくなります。
本書が扱う範囲で例示しますと、和暦の延宝八年一月一日は、西暦一六八〇年二月一日です。同じく二月一日は三月一日、八月一日は八月二十四日、閏八月一日は九月二十三日です。この閏月が響いて、延宝九年一月一日は二月十九日、六月一日は七月十五日になります。延宝九年は干支の辛酉の年にあたるため、九月二十九日に天和と改元されます。
〇年号
ここで、本書に関係する年号と改元について簡単に記しておくのが、便宜だろうと思います。
寛文十三年九月二十一日、延宝と改元(延宝元年=一六七三年)
延宝 九年九月二十九日、天和と改元(天和元年=一六八一年)
天和 四年二月二十一日、貞享と改元(貞享元年=一六八四年)
貞享 五年九月 三十日、元禄と改元(元禄元年=一六八八年)
〇時法
時法は、日の出を明け六ツ、日の入りを暮れ六ツとし、昼夜を別々に六等分した一分画を一時とする不定時法です。季節により一時の長短は変ります。時刻の数え方は、子より順に丑寅卯辰巳と十二支をあてる数え方がありますが、これは慣れないと分りにくい難があります。本書は、真夜中の子の刻を九ツ、真昼の午の刻も九ツとし、一時進むと一つ数をへらす数え方を使います。不定時法のため、今の定時法と一時の長短がほぼ一致するのは、春分、秋分のときに限られます。
*春分、秋分のとき
明六ツ  午前六時     昼九ツ    正午
朝六ツ半 〃 七時     昼八ツ  午後二時
朝五ツ  〃 八時     昼七ツ  〃 四時
朝五ツ半 〃 九時     暮六ツ  〃 六時
朝四ツ  〃 十時     夜五ツ  〃 八時
朝四ツ半 〃十一時     夜四ツ  〃 十時

*46判変形・本文340頁・定価:(本体1500円)+税

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