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子どもってワケわからん!

  • 岡崎 勝著
  • 価格 1600+税円
  • 判型:46判、232ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0695-3
  • 初版発行年月 2019年3月25日
  • 発売日 2019年3月27日

内容紹介文


はじめに

 子どもにとって個性とは「はみだすこと」であり、「その個性に付き合うのは面倒で難しい」ことです。それでも「ワケわからん子どもたち」はみんな愉快な仲間なのです。子どもは面倒でやっかいだけどおもしろい! というのが、子どもと付き合ってきた私の率直な想いです。そんな想いで、本書をみなさんにお送りします。
 「子どもが大人の思い通りにならない」のは普通であり、万が一大人の思い通りになっているとしたら、安心などせずに、おかしいな? と、油断しないで欲しいのです。どんなワケの分からない「変な子ども」も実に、「子どもらしい」のです。
 自分の子どもが元気ならまず安心です。でも、元気すぎると困ることもあるわけです。元気すぎて授業中走り回るとか、教科書を破いて食べるとか、刻んだケシゴムを、プラスチック定規ではじいてどれだけ遠くに飛ばせるか遊んでいるとか、怒って隣の子のペンケースを放り投げるとか、カッターナイフで「ほら、ほら」と言って隣に座っている子を脅かすとか、給食の野菜や肉が嫌いでいつまでも箸でつついているとか...適度に元気だとうれしいのですが、それは本当に難しいことです。常識だとか世間の目が...というのは子どもには通用しません。そもそも「常識」「世間の目」自体がよく分からない時代に突入しています。
 「親の気持ち」「先生の熱意」もなかなか伝わりません。結局、根気よく付き合うしかないのです。それに、私たち大人がちょっとだけ見方を変えたり、視線を動かしてみたりするととても深い問題や課題を提起してくれます。
 私は40年以上子どもと「格闘」し、親たちや同僚の相談にのり、侃々諤々と論議や喧嘩をしながら仕事をしてきました。親自身が子離れできず、可愛がり方がよく分かっていないこともありました。もちろん、私も自分の浅はかさを反省し、悔し涙を流したこともあります、本当に!
 子どもは家族、そして学校で育ちます。そして、社会という時代の中で大きく影響を受けます。昭和をノスタルジックに語り「昔の子どもは可愛かった...」などとつぶやいてはいけません。昔の子どもも十分にとんでもなかったのです。かなりやっかいで、したたかでした。
 平成時代の後半になるとインターネットやスマホの常時接続が普通になり、今度は「つながり不安」「孤立への恐怖」「過剰な承認欲求」などの問題が起き、子どもたちの状況は一変しました。いじめや不登校は減ることがなく、教員の仕事と心の病は競うようにどんどん増え、親たちの心配事も増え続けています。困ると他者を攻撃するという大人が目立ちます。
でも、私は、それでも「子どもはおもしろい」と思っています。そして、子どもはいつも大人の立っている場所を「本当にそれでいいの?」と問い直させてくれます。子どもたちを彼らの生きている場所ごと、風景ごと観て欲しいと思うのです。子育てや教育に正解や決定版マニュアルはありません。私たち大人は、子育てや教育の基盤そのものをいつも問い返しながら子どもと付き合うしかないのです。
 子育てや教育に王道はありません。いや、もともと「子育てや教育はモデルになるようなものはない」というくらいの方がいいのかもしれません。
 「教育や子育ては子どもと大人の関係そのもの」であり、「子どもの問題は大人の課題」なのです。
 さて、本書は2013年から隔週で中日新聞(東京新聞)に掲載されたコラム「子どもってワケわからん!」をまとめ、若干の加筆修正をしたものです。私は、親や教師、いろんな方々から子育てについて相談を受け「ない知恵をしぼり」アドバイスをしているのですが、それをもとに連載を続けています。本書では、ある程度、項目を分類してまとめていますが、重複しているものもいくつかあります。つたなく短いコラムですが、新聞ということで、読んで意見をくださる方もいらっしゃいます。まとめて読みたいと言ってくださる方も多いのです。
 少しでも子どもに向き合う大人の肩の力が抜け、子どもと関わることで大人自身が元気になれたらいいなと思います。そして、子どもは大人の映し鏡であるということを是非とも知っていただきたいと思うのです。子育て・教育は「折に触れ」なのです。


おわりに

 隔週に700字足らずといえどもコラムを書くことができるのは、自分自身が子どもと関わりながら毎日過ごし、悩んでいるからです。定年退職後も非常勤講師として午前中子どもたちの前に立ち、授業をしています。教師の労働条件が暗黒であるということが、最近やっと世間に浸透してきましたが、その解決策はいまだになく、政府の政策も遅々としています...というより「無策」に近いのです。
 学校現場も家庭も地域も忙しすぎ、目の前のことだけに右往左往して、子どもと一緒に居る時間も少なく、お互いに暮らしの中で対話をするということが全くできなくなっているように思えます。私たちは子どもたちをじっくりと見つめることなく、思考停止に陥っている感もあります。「無駄の大事さ」を忘れたかのようです。
 エンデの『モモ』(岩波書店)に出てくる時間泥棒は、現代の合理主義の批判としても読めますが、便利さを追求することによって失ったもの、「無駄」に見える貴重なもの、例えば「対話」を失ったことも教えてくれます。子どもから「無駄」の大切さを学びたいと思うのです。
 私は今もいくつかの連載・原稿を書きながら、おしゃべりに出かけたり、大人から子どもまでの相談にのったり、子育て・教育の本を編集したりしています。それらはおもしろいからできるのです。興味や知的好奇心があるからできるのです。ま、子どもと同じですね。おもしろいことや楽しいことには集中力が発揮できます。私自身が、小さな頃から父や母、妹の手をわずらわせ、近所の人たちにも迷惑をかけ、先生に面倒をかけながら、いたずらをたくらんで「元気に生きてきた」と思います。
 本書では、困った子どもたちのことを考えながら、この子は自分自身だな!と思うことも少なくありません。ですから、本書は「ワケわからん子どもたちへのエール」でもあるのです。
 親や教師の「過剰な愛情やお節介な教育愛に負けないで、生きようぜ!」と子どもたちに声をかけるつもりで書いています。どうぞ、「ご賞味」ください。
 さて、最後になりましたが、多くの仲間に勇気づけられて本書はできています。中日新聞生活部の河郷丈史さんはじめ連載を担当してくれた歴代編集部のみなさんに感謝いたします。面倒な原稿を見てくださってありがとうございました。
 長年の研究会仲間である土井俊介さん、山本芳幹さん、これからも夜な夜な集まりましょう。また、伊藤育雄さんはじめ、教育実践グループの「一日おもしろ学校ごっこ職員室」の仲間たちには、常に前向きで明るく元気の出る場所を提供してもらいました、お礼申し上げます。
 そして、本書を企画編集してくださった批評社のスタッフのみなさん、コラムに目を留めてくださり、本に創りあげてくださったこと、本当にありがとうございます。
 最後に、「ジイジは本当に先生なの? 大丈夫?」といつも厳しく指導・心配してくれた真帆と航希、そして葵、三人の孫たちにも感謝します。さらに、元気に歩き回っている母・幸子(86歳)の「今週もコラム読んだよ。なかなかよかった」という声にも励まされました、感謝です。
 「子どもは希望である」という言葉がもっともっと確信を持って実感できる時代と社会をつくる責任を私たちは重く受けとめていかなければと思います。

二〇一九年三月三日
                                     岡崎 勝

目次

もくじ

はじめに 3

第一章 子どもはいろいろいるからおもしろい 15

1 わがままな子/2 言葉が荒っぽくなっていく子/3 自分の言いたいことが言えない子/4 「落ち着きがない」といわれる子/5 「言いたがり」な子/6 泣きわめく子/7 熱中しやすい子/8 「ほめられたがり」の子/9 仕切りたがりの子/10 KYと言われてしまう子/11 人前で話すのがにがてな子/12 乱暴な子/13 他の子とすぐに比べてしまう/14 お弁当の輪に入れない子が心配/15 泣きべその子/16 「コミュニケーションがへた」と言われてしまう子/17 テストでうっかりミスの多い子/18 子育ての「こつ」って何?

第二章 子育てとしつけはめんどうだけどおもしろい 41

1 子どもがお店で騒ぐとき/2 食べ物の好き嫌いを言うとき/3 これって虐待? と落ち込むとき/4 すさまじい兄弟げんかをなんとかしたい!/5 お年玉の使い方でトラブルが起きる/6 時間の「だらしなさ」をなんとかしたい/7 食事のマナーは身に付けられるか?/8 子どものスマホにいらつくとき/9 忘れ物をなくす方法はある?/10 叱り方は難しいけれど/11 集中力と持続力がないと思う時/12 お小遣いの使い方/13 親のお金を抜き取ってしまったとき/14 ハンカチとティッシュは必要?/15 「ごめんなさい」が出ないけれど/16 かっとなって叱ってしまうとき/17 下品な言葉がだいすきな子/18 にんじんぶら下げ作戦の是非/19 兄弟げんかのワケ/20 子どもたちへ謝罪の指導/21 つめかみ、チックを心配するとき/22 「ちゃんとしなさい」「はやくしなさい」と言い過ぎる/23 食事を邪魔するゲーム??/24 子どものあくび事情

第三章 親もつらいよ 75

1 友だちとのけんか:親編(1)/2 友だちとのけんか:親編(2)/3 友だちとのけんか:親編(3)/4 親を見て育つこともある/5 友だちに物を「取られた」…と思ったとき/6 卒業式の服装で個性を考える/7 反抗期の声かけと身辺の世話/8 SNSの責任と危険性覚悟

第四章 宿題・塾・部活はほどほどに 87

1 スポーツの習い事で気をつける/2 習い事をやめたいと言ったとき/3 家庭学習に
必要なのは覚悟/4 外遊びを嫌がる子ども/5 部活動は上手な子だけでいいのか?/6 家庭での勉強より大切なこと/7 猛暑に無理しない部活を/8 先生も部活動優先を見直す時期/9 部活の打ち上げ会 大人不在なら参加させない/10 部活のあり方は包括的な論議を/11 宿題って義務? はんぶんでもいいから努力してみる

第五章 友だち関係は難しい…でも成長する 103

1 女の子の仲間はずれ/2 いじめリーダーはホントに「加害者」?/3 同調圧力と向き合い悩める女子/4 バレンタインデーの楽しさと気遣い/5 友だちづくりの困難/6 親友は意外と「遠い」/7 見えにくい子どもたちの気持ち

第六章 家族と子ども、性のこと 113

1 孫育ては応援に徹するべし/2 父親も家事・育児を!/3 思春期の寝室は親と別?/4 世話される男子は自立するか?/5 親子の約束は守れるか?/6 自律って自分の決めごとをつくること/7 愛情不足? って無遠慮な言葉/8 修学旅行のグループ分け/9 親との会話が激減でいいのか?/10 ピンチ救うには弱者受け入れ/11 男子にも性教育の機会を/12 男の子はつらいよ/13 男だって弱音吐いてOK/14 思春期の反抗と間違い認める大切さ/15 生と死、怪談や幽霊の本/16 思春期息子の母への甘え/17 思春期の娘のやっかいさ/18 父親の家事・育児で家族はたすけあう/19 学校でも家庭でもまず大人が襟を正そう/20 相手を尊重して異性と付き合う/21 子どもの家事参加は大切/22 息子は宇宙人?

第七章 夏休みの生活と読書 145

1 夏休みの宿題/2 夏休みの読書/3 「夏休み」は「休み」なのだ/4 自分のことは自分でやる夏休み/5 自由研究の骨格は起承転結/6 とりあえずの読書感想文/7 どうして夏休みがあるの?/8 読書感想文はわくわくする1冊を

第八章 学校トラブルとのつき合い 157

1 新1年生はのんびりやさんでもOK/2 交換ノート・日記の悩み/3 テストの日に欠席で心配/4 新年度のクラス分けどうするか?/5 学級担任の決め方/6 登校グループの班長は大変/7 家庭訪問(1) 先生にとっても有意義?/8 家庭訪問(2) 玄関だけで失礼したい/9 教育実習生とのつき合い/10 「知ったかぶり」の子どもたち/11 手先が不器用なんだけど…/12 我が子の役が不満な学芸会/13 おもちゃ文具も文化だよ/ 転校先での困りごと 遠慮せずに担任に/15 忘れる能力はうらやましい/16 「卒業式」ってなんのためか?/17 学校のコンピューター学習 厳しい予算で現場も苦慮/18 過剰「清潔さ」の追求で失ったもの/19 席替えは「運命の出会い」をプラスに/20 安心安全社会では誰もが不審者?/21 幼保と小学校の情報交換

第九章 「発達障害」「不登校」の問題 187

1 入学時の不安と発達障害/2 登園しぶりは原因追及をまずひかえ見守る/3 不登校のときはちょっと休むこと/4 小1の登校 「別れのバトル」淡々と/5 通常学級か特別支援学級か/6 学校に行きたくない子ども/7 不登校の背景は不寛容

第十章 学校の授業の問題とつまずき 197

1 縄跳びの練習がつらい/2 運動がにがてでもいいじゃない/3 競争せず楽しく学ぶ/4 授業の45分間1本勝負/5 勉強の意外な意義/6 ノートに丁寧に書く/7 だんらんの時を奪う大量の宿題/8 楽しみながら文章上達のウソ作文/9 漢字テストは「忍耐テスト」?/10 苦手な算数の文章題/11 敬語と人間関係/12 すぐには始まらない水泳の授業/13 静かな授業ならいいのか?

第十一章 先生問題の深い悩み 216

1 言葉遣いがきつい先生/2 授業がヘタなら先生だって勉強/3 教師の目線を問い直す/4 教員の疲労 心身に負担、休職増える/5 職員室でのハラスメント/6 教師の多忙を呼び込む新学習指導要領/7 無駄でない時間 勉強や学校以外の話題を

おわりに 227

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