TOP 文化生態学 ヤシ酒の科学 ココヤシからシュロまで、不思議な樹液の謎を探る

ヤシ酒の科学 ココヤシからシュロまで、不思議な樹液の謎を探る

  • 濱屋悦次著
  • 価格 2500+税円
  • 判型:46判、256ページ、上製
  • ISBN 978-4-8265-0679-3
  • 初版発行年月 2018年4月25日
  • 発売日 218年5月7日

内容紹介文

「汲めども尽きぬ、ヤシの酒」......マルコ・ポーロの『東方見聞録』でその存在を知ることができる<ヤシ酒>。ヤシの木の幹に傷を付けて採取した樹液が自然発酵したお酒である事実は意外と知られていない。ヤシ酒の全貌を緻密な現地取材で紹介しながら、科学的分析をとおして樹液の謎に迫る。

私は眉に唾をつけた。樹の枝に壺をかけておくだけで無尽蔵に酒ができるだなんて、信じられないではないか......。
私はけっして酒飲みではないが、このヤシ酒の話にすっかり魅せられた。樹液が酒とはいかなることなのであろうか。おそらく樹液中の糖分が発酵してアルコール(エタノール)になるのであろうが、それにしてもうまくできすぎている。花序を切るということは、いったいどのようなことなのであろうか。なぜ樹液が流出し続けるのであろうか。樹液はいつも間違いなく酒になるのであろうか。疑問はつきなかった。(本文より)

【著者略歴】
濱屋悦次(はまや・えつじ)
東京うまれ。東京大学農学部卒。農学博士。専攻は植物病理学、植物ウイルス病に関する研究で日本植物病理学会賞を受賞。農林水産省在職中は各種作物病害の研究に従事、東京大学大学院講師、科学技術会議専門委員(組織DNA分科会担当)を兼務。農林水産省退職後は日本女子大学講師、東京バイオテクノロジー専門学校講師など。現在は各地の食文化について情報収集中。
著書に、『植物組織培養』(朝倉書店)、『植物組織培養の技術』(朝倉書店)、『応用植物病理学用語集』(日本植物防疫協会)、『トチ餅は東京産』(批評社)など、訳書にロバート・ノックス著『セイロン島誌』(平凡社)がある。

目次

【目次】プロローグ/
[第1章・ヤシ酒との出会い]
スリランカの紅茶とヤシ酒/ヨーグルトとヤシ蜜/スリランカはヤシ酒の国/ヤシらしからぬキトウルヤシの姿/キトウルヤシの酒/パルミラヤシの酒/ココヤシの酒/プレオナンシックとハバクサンシック/植物の導管と篩管/導管流の原理/篩管流の原理/甘い樹液は篩管液/ヤシ樹液の発酵/ヤシ酒の発酵は続く/アラックの味/北のブドウ酒と南のヤシ酒/別れ

[第2章・各国のヤシ酒]
インドネシアはイスラム教国だった/サトウヤシからつくるヤシ糖/サゴ澱粉の製造/家内工業でつくるヤシ糖/屋の掘出物/ボロブドール遺跡とヤシ糖/ついにマルコ・ポーロの酒を飲む/スマトラ島のヤシ酒/タイのヤシ酒/タイのヤシ糖/ヤシ樹液の変質防止/フィリピンのヤシ酒/ヤシ酒は高級スーパーにない/ヤシ酒の産地ラグナ州リリウ/インドのヤシ酒/その他の国々/幹頂部からの採液法

[第3章・スリランカ再訪]
樹液の謎を解くヒント/ネゴンボの居酒屋/ココヤシ研究所/ココヤシの採液法/国道の居酒屋/パルミラヤシの採液法/ヤシ酒蒸留工場/ヤシ酒職人の親子/キトウルヤシの採液現場/キトウルヤシの採液法/ミグ二五戦闘機がとりもつ古い縁/植物遺伝資源センター/300年前のヤシ酒製法/キャンディ地方のヤシ酒とり/再会
[第4章・不思議な樹液の謎に迫る]ヤシ酒に残った最後の謎/植物の光合成/光合成産物の供給器官と受容器官/受容器官における蔗糖/供給器官と受容器官の相互関係/研究用篩管液微量採取方法/篩管量が大量にとれる植物は希有/シュロの樹液採取/樹液流出をめぐる百貨争鳴/導管や篩管は傷がついても漏れない/ヤシ酒の篩管に何が起こるのか/樹液流出は篩管制御系の異常/

エピローグ/
著者あとがき/
参考文献


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