TOP [雑誌]精神医療 「精神医療」83号特集=学校と精神医療─病んでいるのは子どもか?学校か?

「精神医療」83号特集=学校と精神医療─病んでいるのは子どもか?学校か?

  • 高岡 健+「不登校新聞」=責任編集
  • 価格 1700+税円
  • 判型:B5判、138ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0646-5
  • 初版発行年月 2016年7月10日
  • 発売日 2016年7月12日

内容紹介文

「不登校」という学校制度や教育制度になじめない子どもたちが増えている。文科省の統計でも、「2014年度に病気や経済的理由以外で年間30日以上欠席した小中学生の『不登校児』が2013年度より3285人増の12万2902人で、2年連続で増加したという」(2015年8月6日、毎日新聞web)。
 2015年度は、「不登校の子どもは、小学生が2万5866人(前年度比1691人増)で、全体の0・39%(前年度比0・03ポイント増)。比較できる統計をとり始めた1991年度以降で最高だった。中学生は、9万6789人(1608人増)で、全体の2・76%(0・07ポイント増)」(文科省)だったという。学校という教育現場でいったい何が起きているのか。「不登校」の原因は多々あるだろう。学校空間のなかの教育制度にも、教師との関係にも、子どもたち同士の関係やいじめにも、家庭内の家族関係にも、あるいは社会的な事件や災害(大震災や原発事故)にも関係があるだろう。複合的で錯綜した関係や構造を一つひとつ解きほぐし、個々の子どもたちに見合った丁寧な対応をとおしてしか、何も解決しない。
しかし、今の学校教育の現場は、そうした対応を考える余裕さえ喪失している。実際にそうした対応を考え実践しているのは、民間のフリースクールや個人指導の学習塾である。もはや「公の理念なき公教育」である。
 かつて「ひきこもり」が国民病として問題になり、早期発見、早期治療という、およそ子どもの置かれた現実と本質を無視した方策が席巻したが、現在ではそうした子どもたちは、「発達障害」や類似した障害や疾患として「不登校」の背景に想定するようになっている。
 しかし、学校制度や教育制度をめぐる議論を果てしなく続けてもそれほど意味があるとは思えない。文科省は「ゆとり教育」を採り入れてもすぐに撤回し、再び知識詰め込み教育に逆戻りする。英語教育にしても基礎学力より会話中心の皮相的な英会話教育を採り入れようとしている。 問題は、「制度」をいじくり回しても子どもたちに混乱をも垂らすだけで、彼ら/彼女らの生活の半分にしか影響を与えはしない。
問題は学校を脱出した先に彼ら/彼女らが自分自身の生活を構想しえる力をいかに蓄えていけるかどうかということである。
 「不登校」当事者をはじめ、全国不登校新聞の編集者、フリースクール主宰者、通信教育教師、大学教員、精神科医らがそれぞれの立場から問題の所在を徹底的にえぐり出した総力編集の特集号。

目次

no.83
特集
学校と精神医療
──病んでいるのは子どもか? 学校か?


編集=『精神医療』編集委員会
責任編集=高岡 健+「不登校新聞」

巻頭言*学校・精神医療・生活
高岡 健

座談会*学校と精神医療
君島 光+池知未佑+本橋璃央+[司会]石井志昂+高岡 健

[解説]
教育機会確保法案(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案)の経緯

多様な教育機会確保法
──推進の立場から
江川和弥

教育機会確保法案をめぐって
山下耕平

学校内のいじめはなぜ止められないのか?
鈴木 翔

終わらないいじめに向き合う
須永祐慈

子ども問題の分析視角
──「いじめ」への複眼的アプローチ
内田 良

学校でつくられるホモフォビア
──安心して自分を表現できる学校教育とは 室井舞花

学校現場から見える不登校
──学校と精神医療
山本由起子

自閉スペクトラム症と不登校
関 正樹

エッセー ・ 不登校の幹を問い直す元年に
小熊広宣

エッセー ・ 吉本隆明さんからの予言
石井志昂

コラム+連載+書評

九州地方大震災緊急アッピール*
熊本地震におけるDPAT活動──短報
矢田部裕介

視点─44*こころのケアチームからDPATへ
──災害時精神保健医療支援はどう変わったか
福島 昇

連載*─5
対等な関係性を求めて──わたしの個人的総括 (5)
新居昭紀

連載*─4
精神科看護と歩んだ54年間
──教育編(・)(1987年?1995年)
柴田恭亮

コラム*無認可共同作業所再考
──共同・協働とイギリスのco-productionをめぐる道程
添田雅宏

書評*『ケアをすることの意味──病む人とともに在ることの心理学と医療人類学』
クラインマン,A.著(皆藤章編・監訳)[誠信書房刊]
浅野弘毅

書評*『精神病院体制の終わり──認知症の時代に』
立岩真也著[青土社刊]
竹村洋介

追悼*大ごっさん(大越功先生)を偲ぶ
星野征光

編集後記
高岡 健

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