TOP サイコ・クリティーク 外科医は内科医に、内科医は外科医に学び、研修医は謙虚に習う─患者さん中心の総合診療をめざして

外科医は内科医に、内科医は外科医に学び、研修医は謙虚に習う─患者さん中心の総合診療をめざして

  • 定塚 甫著
  • 価格 1700+税円
  • 判型:46判、184ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0643-4
  • 初版発行年月 2016年6月25日
  • 発売日 2016年6月27日

内容紹介文

医者にかかる前に知っておこう
「医原病」の実際を!

総合病院には、多くの科がありますが、その科のなかにさらに細分化された診療科目があります。厚労省・文科省で認可されていない「科」が数え切れないほど多くなっています。
臨床現場における「医原病」の実際を事例によって検証し、外科系と内科系の融合をとおして、いかに患者さん中心の総合医療に転換することが大切か説いた臨床医学・医療論。


*総合病院には多くの科がありますが、その科のなかにさらに細分化された診療科目があります。また、専門医でも病気の診断に悩むほど多くの病名があります。これでも少ないという医師もいますが、医師が多くの病名を憶えても患者さんにどのような利益があるのでしょうか。

*目の前の患者さんにしかるべき適確な診断を下して治療がスムーズにできるようにするのが臨床医学・医療の世界です。しかし、臨床の現場では、すべてが分からないのに然るべき診断を下すという矛盾を実際に行わなければならないのです。
例えば、「頭が痛い」という主訴の患者さんが総合病院の相談窓口を訪れると、最初は「脳外科」を紹介され、CTスキャンの検査を受けたのですが「異常なし」とされ、次に「神経内科」を紹介され、再びCTスキャンとMRIの検査を受けて、「異常なし」とされ、三度目に「循環器科」を紹介され、造影剤の点滴をうけながらCTスキャンの検査を受けて、ここでも「異常なし」とされたのですが、患者さんは、三度のCTスキャンの被曝で全身が倦怠を覚えるくらい疲労していたのですが、最後に「精神科」を紹介されたのですが、そこで倒れてしまい、救急診療に回されて、四度の全身CTスキャンを受けて疲労困憊してしまったという事例があります。
このような事例の原因は、二次救急医療機関としての総合病院の仕組みと外科系と内科系の医師の治療理念と治療文化の違い、そして医師同士の疎通がないために起こる「医原病」ではないでしょうか。

*二次救急医療機関である総合病院は、なぜ外科手術を拒否して患者さんをたらい回しするのでしょうか。告訴恐怖症よりも安穏生活思考に陥った外科医が増えている現状では、内科医は外科救急を習得して対応する必要があるのではないでしょうか。

*善意で応急処置した内科医が冤罪事件で告訴され敗訴する時代です。「診療を行うには然るべき場所で行われない限り、診療とは認められない」(判決文)のですから、"交通事故で死にかけていても、見て見ぬ振りをする"のが当たり前と理解すべきなのでしょうか。

*外科医と内科医は、治療理念や思考形態の違いによって治療方針にも違いが出てきます。外科医は「悪しき患部は切除する」、内科医は「悪しき患部があっても元に戻す」ことを優先します。

【著者略歴】
定塚 甫(じょうづか・はじめ)
JMCストレス医学研究所・定塚メンタルクリニック

1946年、富山県高岡市にて出生、県立高岡高校、国立金沢大学医学部卒、名古屋市立大学精神医学教室にて精神病理学を学び、浜松三方原病院精神科医長、国立豊橋病院神経科医長・心療内科医員・県立保育大学講師、日本電電公社名古屋中央健康管理所神経科部長、心療センター矢作川病院副院長を経て今日に至る。
公的資格:精神保健福祉法指定医、心身医学指導医、精神医学指導医。UCLA Irvine客員教授、Univ. of Cambridge, St. Thomas Col. Biograph Selector General.
専門は、精神神経免疫病理学(全人的医学)、児童精神医学、社会精神医学、産業精神医学。
著書として、『サラリーマンのためのメンタルヘルス入門』(NTT出版)、『こどものための心と身体の健康』『大人の心と身体の健康』(丸善)、『日本の医者は癌と闘えるのか』『やぶ医者の見分け方』(郁朋社)、『医者は聖人である』『私たちも人間として見てほしい』『愛のマニュアル』(日本文学館)『人格障害』『性科学』『医者になる前に読む本』(三一書房)、『いじめのなくなる本』(本の泉社)、『医は仁術か算術か―田舎医者モノ申す』『うつの正しい治療・間違った治療』『凍てつく閉鎖病棟』『心理療法の常識』(社会批評社)、『子どもたちに未来を委ねるために』(診療医学新書)、『精神神経免疫病理学と現存在分析』(総合医学社)、『こどもの心と身体を守る本』(近代文藝社)。
翻訳書として、"Psychoneuroimmunopathology"(Maruzen, Nagoya), "Introduction to Psychoneuroimmunopathology and Clinical practice" (Biblio-Books, Israel), "Psychoneuroimmunopathology and Daseinsanalysis" (Biblio-Books, Israel), "How to fall in love" (Biblio-Books, Israel), "From the Conception to the Adolescent"(Biblio-Books, Israel).Oranzapine; (Biblio-Books, Israel),2011.

目次

外科医は内科医に、内科医は外科医に学び、研修医は謙虚に習う
──患者中心の総合診療をめざして
目次

はじめに

序 章
外科医と内科医の融合を求めて
 ●臨床医学・医療の「妖怪」
 ●ある患者さんの死の淵からの生還
 ●本道と外道の乖離と融合
 ●臨床医学・医療の細分化

第一章
外科系医師の特徴的な傾向について
[1]外科系の医師は人付き合いが下手である
 ●「メスを持たせれば、神のごとし」の神は親しげな神の方が安心できる
[2]外科医は、言語表現が苦手である
 ●外科医のインフォームド・コンセントはむずかしいか
[3]外科医は、のんびり型の性格では勤まらないか?
 ●説明は患者さんの立場に立ってゆっくりわかりやすく
[4]外科医は見たものだけしか信じない
 ●「患部を開いてみないと分らない」という外科医の発想
[5]外科医は画像診断に頼る傾向が強い
 ●診断画像を修得するには10年の時間を要する
[6]外科医が画像診断に走りやすいという傾向のアポリア
 ●本末転倒した思考の持ち主が外科系の医師に多い
[7]外科医は、「画像診断一辺倒主義」に陥りやすい
 ●画像診断を見誤って切除しなくてもよい肺を切除した医療過誤
[8]外科医は、「悪しき患部は切除する」が基本哲学
 ●手術件数が日本一少ない形成外科医
[9]外科医は、手術後のケアについての言及に乏しい
 ●「絶対に元の姿には戻らない」外科医の手術
[10]外科医は、醜悪な手術痕を残すようでは失格である
 ●患者さんに感謝される手術の成功例
[11]外科医には、無意識の世界にサディズムが宿る
 ●研修医をさぼった外科医の顛末

第二章
初心者の内科医が困難な状況で外科手術を行うとき
[1]初心者の内科医が行った外科手術の記録の意味
[2]内科医の行う外科手術
──実に簡単な怪我ではあるが
[3]誰もが知る必要のある手術の方法
 (1)事故当初の状況と簡単な手術進行の準備について
 (2) 患者さんへの麻酔は内科医が自ら準備すること
 (3)手術の開始と留意すべきこと
 (4)縫合の最終仕上げで注意すべきこと
 (5)術後の経過観察とギプスの取り外し

第三章
内科系医師の特徴を考える
[1]内科系の医師の特徴
[2]内科医に共通する特徴の現実
 ●内科は本道であり、外科は外道か
[3]内科医には外科系の技法を「外道」と見る基本理念が認められない
[4]善意で応急処置をした内科医が冤罪事件で告訴され敗訴する
[5]先端的な医療器機による診断は間違いないか
[6] 内科医の思考回路は、合理的論理性を求める傾向がある
──治療者が悩まなくてもよい「認知行動科学」
 ●認知行動科学と認知行動療法の功罪
[7]内科医と外科医の診断方法と思考の違い
[8]内科医は、無意味な理屈が多く言い訳が多い
[9]内科医が臨終を迎える際のセレモニーを必要とする理由
[10]内科医が診断と処置を提示する時間を待てない家族たち
[11]内科医は、内科的な説明に力みすぎる傾向がある
──内科医の思考方法を理解する
 ●内科医の思考方法と付き合う法
[12]論理的であるようで、自らの世界から出るのを嫌う内科系の医師

第四章
研修医という医師の存在
[1]研修医という医師
 ●患者さんに喋ることなく指で指図する研修医
[2]研修医の制度と処遇
 ●とんでもない研修医の事故の顛末
[3]知識過剰で社会的常識を欠如した研修医
 ●外科系の女性研修医の事故の顛末
 ●内科系の女性研修医の事故の顛末

第五章
外科と内科と研修医のいる医療現場
[1]内科医・外科医・研修医の狭間で
[2]外科系研修医の思考形態の問題性
[3]「リエゾン医療」への提言

あとがき──本来の総合医療を求めて

文 献

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