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食をめぐる日中経済関係─国際経済学からの検証

  • 姚 国利著
  • 価格 2600+税円
  • 判型:A5判、232ページ、上製
  • ISBN 978-4-8265-0625-0
  • 初版発行年月 2015年8月10日
  • 発売日 2015年8月12日

内容紹介文

日中経済関係の新たな関係と構造を読み解く

1972年、日中国交正常化を契機に急速に進展した日中経済関係の歴史を、日本の食品産業の海外移転(台湾、香港、中国)とその発展過程をとおして、さらに廉価な中国産農水産物の日本への輸入過程をとおして、急激な成長と発展を成し遂げた中国巨大資本主義の登場とその影響を克明に跡付ける。
プラザ合意と円高(1985年)、アジア通貨危機(1997年)、冷凍餃子事件(2007年)、リーマンショック(2008年)が日中経済関係に与えた影響を実証的に検証し、TPP交渉が先行き不透明ななかで、食をめぐる日中経済関係と日本農業のこれからを、日中の相互依存と対抗関係の経済構造をとおして国際経済学の視点から明らかにする。

世界の工場と化した中国巨大資本主義がアジアに登場し、さらに、ブラジル、ロシア、インド(BRICs)が経済成長を遂げるなかで、アメリカ、EU諸国、日本などかつての先進国は、労働人口減少、少子高齢化現象、過剰生産、過剰資本、信用膨張のなかで「定常化」しつつある。
ポスト資本主義が現実的な課題として浮揚しつつあるなかで、人間存在にとってもっとも根源的な食をめぐる諸問題に焦点を合わせ、新たな社会関係の構想を練り上げるための必読文献。

著者略歴

1960年、北京市生まれ。吉林大学経済学部を卒業して中国銀行に入行。
1987年、中国社会科学院大学院世界経済研究科修士課程と中退して来日。
京都大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士学位を取得。
筑波大学社会科学系講師、米国ワシントン大学商学部客員研究員などを経て、
現在、宮城学院女子大学学芸学部教授。
主要著書・論文として、
「華南経済圏における通貨問題」(『経済論叢』京都大学経済学会、1994年)
「中国改革開放と外国金融機関」(『金融』全国銀行協会連合会、1997年)
「新・東アジア経済論」(共著)(ミネルヴァ書房、2001年)
「日本産コメの対中国輸出」(人文科学叢書、宮城学院女子大学、2009年)
「日本製化学肥料の対中国輸出」(人文科学叢書、宮城学院女子大学、2010年)

目次

食をめぐる日中経済関係
――国際経済学からの検証

目 次

はじめに

序 章

第1節 研究の目的
1. 問題意識
2. 先行研究の状況
3. 研究の目的

第2節 研究方法
1. 本書の分析角度
2. 資料の所在およびその特殊性
3. 本書の構成

第1章
食料品をめぐる日中貿易の歴史

第1節 戦後日中貿易の復活と食料品輸出入の再開
1. 戦後日中貿易の復活
2. 日中間食料品輸出入の再開

第2節 覚書貿易の展開と中国産食料品の輸入拡大
1. 「LT貿易」と「友好貿易」の展開
2. 中国産食料品の輸入拡大

第3節 国交正常化後の中国産食料品の輸入状況
1. 国交正常化による日中貿易の急増
2. 中国産食料品輸入の増加と商品構成

小括

第2章
中国における食料事情の変遷

第1節 食糧の生産と消費状況
1. 主要穀物の生産状況
2. 食糧の消費状況

第2節 畜産物の生産と消費状況
1. 畜産物の生産状況
2. 畜産物の消費状況

第3節 水産物の生産と消費状況
1. 水産物の生産状況
2. 水産物の消費状況

第4節 野菜の生産と消費状況
1. 中国における野菜栽培の歴史
2. 改革開放以前の野菜の生産と流通状況
3. 改革開放と野菜生産の拡大
4. 野菜の消費状況

第5節 中国における食品工業の発展
1. 中国における食品工業の分類
2. 主要食品工業部門の発展状況

小括

第3章
中国産食料品の輸入拡大

第1節 中国産食料品輸入の概況
1. 1980年代の事情
2. 1990年代以降の輸入拡大
3. トラブルの発生と輸入減少
4. 中国産食料品の安全性の読み方

第2節 主要品目の輸入状況
1. 野菜
2. 魚介類
3. 鶏肉とその調整品

小括

第4章
日系食品企業の中国進出と開発輸入

第1節 日本の食料産業の海外進出とその変容
1. ODAから始まった食料品の開発輸入
2. 主要先進農業国からの食料調達
3. 食品産業の東アジア近隣諸国への進出

第2節 日系食品企業の中国進出
1. 中国の改革開放と外国食品企業の中国進出
2. 日系食品企業の中国進出

第3節 日系食品企業中国進出の特徴
1. 地域分布の特徴
2. 投資形態の特徴
3. 原材料の調達と製品の販売

小括

第5章
日本産食料品の対中国輸出

第1節 日本の食品産業を取り巻く環境の変化
1. 食品産業の国内市場の量的飽和と国内生産額の減少
2. 競争の激化

第2節 食料品輸出戦略の提起と推進
1. 日本政府の輸出戦略――「攻めの農政」から「FBI」まで
2. 地方の対応――山形県の事例

第3節 中国における食料品市場の拡大
1. 中国における人口規模と人口構成の再確認
2. 経済発展による国民の購買力上昇と富裕層の生成

第4節 食料品の対中国輸出の実績と特徴
1. 輸出の展開と挫折
2. 主要食料品の輸出実績とその特徴

小括

第6章
食をめぐる日中経済関係と香港

第1節 香港のビジネス環境
1. 港湾としての香港
2. 香港の貿易管理制度と関税制度

第2節 日本産食料品の対香港輸出
1. 日本産食料品に対する香港の購買力と需要
2. 日本産食料品の対香港輸出の実績
3. 香港経由の日本産食料品の対中国輸出

第3節 香港経由の日系食品企業の中国進出
1. 日系食品企業の香港進出
2. 香港経由の日系食品企業の中国進出

小括

第7章
食をめぐる日中経済関係と台湾

第1節 台湾食品企業の中国進出
1. 中台経済関係の拡大
2. 台湾食品企業の中国進出

第2節 食料品をめぐる日台経済関係の変遷
1. 食料品をめぐる日台貿易
2. 日系食品企業の台湾進出

第3節 中国進出における日台企業連携
1. 日系企業の「台湾活用型対中国投資」
2. 主要食品企業の事例

第4節 日本のウナギ輸入における台湾と中国
1. 養鰻技術の台湾への移転
2. ウナギ産業の台湾から中国へのシフト

小括

第8章
日系外食企業の中国進出

第1節 日本における外食産業の変遷
1. 外食産業の定義と範囲
2. 外食産業の生成と発展
3. 外食市場規模の縮小傾向

第2節 中国における外食産業の事情
1. 中国国民の外食行動
2. 中国における外食産業の構成と市場規模の拡大

第3節 日系外食企業の中国進出
1. 外国外食企業の進出に対する中国側の規制緩和
2. 日系外食企業の中国進出過程

第4節 日系外食企業の中国進出の特徴
1. 地域分布の特徴
2. 経営の特徴
3. 香港・台湾との関連

小括

終 章
総括と今後の課題

第1節 国際貿易から見た食をめぐる日中経済関係
 
第2節 外国直接投資から見た食をめぐる日中経済関係
 
第3節 国際金融から見た食をめぐる日中経済関係
 
第4節 食をめぐる日中経済関係の課題と展望
1. 中国における重商主義的開発の代償
2. 中国の「安さ」の消失と今後日本の食料品輸入

あとがき

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