TOP 精神医療と人権を考える 精神科病院脱施設化論─長期在院患者の歴史と現況、地域移行支援の理念と課題

精神科病院脱施設化論─長期在院患者の歴史と現況、地域移行支援の理念と課題

  • 古屋龍太著
  • 価格 3200+税円
  • 判型:A5判、320ページ、上製
  • ISBN 978-4-8265-0611-3
  • 初版発行年月 2015年3月10日
  • 発売日 2015年3月12日

内容紹介文

世界一精神病床の多い日本国であり続けるのか?
年間死亡患者2万人超の現実は変えられるのか?
隔離収容政策の歴史、地域移行支援の現状、退院阻害の要因、都道府県の格差、患者と専門職の意識乖離等を、実証的に検証した脱施設化戦略の理論的考察。

【推薦の言葉】我が国の障害者政策の最大の問題である精神障害者の長期入院問題に焦点を当てた、膨大な研究の中のマクロな部分、主に国や自治体の脱施設化政策にかかわる部分を中心にまとめたものである。障害者総合支援法の「3年を目途とする検討」事項の重要な部分でもあり、本書はその検討に大きな影響を与えるものと期待される。(日本社会事業大学大学院特任教授 佐藤久夫)

著者略歴
1982年?国立武蔵療養所、国立精神・神経センター病院に勤務、2008年?日本社会事業大学大学院、准教授、精神保健福祉士(PSW)、博士(社会福祉学)。
著書に『精神障害者の地域移行支援』(中央法規)『長期在院精神障害者の地域移行支援』(社会保険研究所)、編著に『精神科病棟転換型居住系施設の争点』『ピアスタッフの現在と未来』『精神科クリティカルパス論』(以上、批評社)、『精神保健福祉の理論と相談援助の展開?』『精神保健福祉に関する制度とサービス』(以上、弘文堂)『Q&Aでわかるこころの病の疑問100』(中央法規)など。

目次

精神科病院脱施設化論
――長期在院患者の歴史と現況、地域移行支援の理念と課題
目次

推薦の言葉――「社会的入院」を終わらせるために 佐藤久夫

はじめに

序章
長期在院精神障害者の脱施設化にかかわる研究の背景と目的

第1節 研究の社会的背景

第2節 研究の目的と意義
1. 退院促進・地域移行支援にかかわる先行研究
2. 研究の目的
3. 研究の意義

第3節 研究の方法
1. 各章の構成と目的・研究方法
2. 用語の定義

第4節 倫理的配慮

第5節 分析の視点

序章【注】

第1章(歴史編)
長期在院精神障害者に関わる日本の隔離収容政策の歴史的経緯と背景

緒 言

第1節 研究の課題と目的・方法
1. 研究の背景と課題
2. 研究の目的と意義
3. 研究の方法

第2節 精神障害者「入院促進」政策の歴史と背景
1. 日本の近代化と精神病者監護法・精神病院法の制定
2. 精神衛生法(1950年)による隔離収容政策の展開
3. 高度経済成長政策による精神障害者隔離収容入院促進

第3節 精神科医療における「社会復帰」活動の歴史と背景
1. 精神病院における社会復帰活動の萌芽
2. 報徳会宇都宮病院事件(1984年)と国際的な批判
3. 精神保健法(1987年)による入院形態の変更
4. 精神保健法の一部改正(1993年)と長期在院患者の滞留化

第4節 「精神障害者福祉」施策の歴史と背景
1. 精神障害者福祉法試案(1980年)による終末施設構想
2. 障害者基本法(1993年)制定による「精神障害者」の誕生
3. 精神保健福祉法の制定(1995年)による精神障害者福祉の出発
4. 居宅生活支援の誕生と「改革のグランドデザイン」(2004年)
5. 障害者自立支援法の制定と精神保健福祉法の一部改正(2005年)

第5節 長期在院精神障害者に対する「退院促進」事業の歴史
1. 精神障害者退院促進支援事業の始まり(2000年?)
2. 精神障害者地域移行支援特別対策事業(2008年?)
3. 地域移行・地域定着支援とアウトリーチ支援へ(2010年?)

第6節 諸外国における精神保健医療改革
1. 北米における精神保健医療改革
2. イギリスにおける精神保健医療改革
3. イタリアにおける精神保健医療改革
4. 日本との比較における精神保健医療改革の可能性

第7節 考察
1. 日本の隔離収容入院医療政策
2. 高齢化が進む長期在院精神障害者

第8節 結論

第1章【注】

第2章(理論編)
長期在院精神障害者の現況と退院阻害要因、地域移行支援の理念

緒 言

第1節 長期在院精神障害者の現況
1. 精神科病院における長期在院精神障害者の現況
2. 長期在院精神障害者の定義
3. 「受入条件が整えば退院可能な患者群」の数
4. 長期在院化する精神疾患を有する知的障害者
5. 救護施設における脱施設化の現況と課題

第2節 長期在院精神障害者の退院を阻害する要因
1. 退院を阻害する個体要因と環境要因の複合
2. 患者に起因する退院阻害要因:退院できない患者
3. 家族に起因する退院阻害要因:退院を拒む家族
4. 病院に起因する退院阻害要因:施設症化した病院
5. 地域に起因する退院阻害要因:貧困な地域
6. 行政に起因する退院阻害要因:不作為の国家
7. 退院阻害要因の除去

第3節 長期在院精神障害者に対する地域移行支援事業所の取り組み
1. ハウジング・ファーストの取り組み実践
2. モチベーション・サポートの取り組み実践
3. 病院と地域のリンケージシステムの取り組み実践

第4節 長期在院精神障害者に対する精神科病院の取り組み
1. 社会復帰活動として取り組まれた退院支援
2. 病院内システムの変革と退院支援
3. 住居プログラムと連動した退院促進と病院のダウンサイジング
4. 精神障害者退院支援施設

第5節 考察
1. 「施設症」と精神科病院の現実
2. 社会正義と地域移行支援の理念
3. 開かれたトポスにおける生活支援

第6節 結論

第2章【注】

第3章(調査編)
精神障害者地域移行支援事業の取り組み状況に関する実態調査

緒 言

第1節 研究の背景
1. 地域移行支援事業が精神科病院に与えた影響
2. 一連の地域移行支援事業の退院実績評価

第2節 精神障害者地域移行支援事業所の現状と課題
1. 研究の概要
2. 結果
3. 考察と結論

第3節 都道府県における精神障害者地域移行支援事業の実施状況と課題
1. 都道府県・政令市調査の概要
2. 国統計による全国の地域移行支援事業の実施状況
3. 結果と考察
4. 結論

第4節 長期在院患者及び病棟職員の地域移行に関わる意識の調査
1. 研究の背景と課題
2. 研究の目的と方法
4. 考察――精神科病院職員と入院患者の意識の乖離を中心に
5. 結論

第5節 結論

第3章【注】

終章(総合考察)
長期在院精神障害者の
脱施設化戦略のベクトル

第1節 脱施設化の戦略に向けて

第2節 長期在院精神障害者の脱施設化戦略の前提
1. 脱施設化の目的・目標の共有
2. 隔離収容政策の歴史認識の共有
3. 精神保健医療福祉をめぐる状況認識の共有
4. 基本理念を共有するための論点
5. 共有されるべき行動原理(理念)
6. 専門職の視点と意識の変革

第3節 自治体レベルにおける社会資源整備

第4節 日本国が果たすべき脱施設化政策
1. 長期在院精神障害者の脱施設化を推進する政策
2. 精神科病棟転換型居住施設構想

第5節 本研究の成果と限界

終章【注】

資料編

【資料1】「効果的な退院促進支援プログラム全国実情把握調査」ご協力のお願い
【資料2】効果のあがる退院促進支援プログラムに関する施設調査票
【資料3】精神保健福祉士等に対するヒアリング調査概要

初出一覧
引用文献
筆者の関与する本論文にかかわる研究班報告書等

あとがき

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