TOP 精神医療と人権を考える 精神病因論のひとつの試み─自閉症理論から心の病の統一理論へ─

精神病因論のひとつの試み─自閉症理論から心の病の統一理論へ─

  • 福田政雄著
  • 価格 (本体:2200円)+税円
  • 判型:A5判、224ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0609-0
  • 初版発行年月 2014年10月31日
  • 発売日 2014年11月4日

内容紹介文

精神(心)の本質とは何か、どのようにして脳内で生み出されるのか。脳の解剖学が心の病因を解明できないのはなぜか。大胆な構想とユニークな考察によって、自閉症理論から統合失調症の病因解明に挑んだ学際的研究である。
18世紀、ヨーロッパ近代の勃興と共に現れた精神疾患(統合失調症)は、さまざまな精神医学理論を構築したが、病因についての科学的解明は今日に至るまで成功していない。これからの精神医学は学際的な隣接科学と連携した研究によってはじめて可能ではないだろうか。

18世紀に近代資本主義経済が勃興して以降、支離滅裂な妄想の拡大による人格の崩壊をひきおこす進行性精神疾患(早発性痴呆)が現れて、エミール・クレペリンはこの病を統合失調症(旧・精神分裂病)と双極性障害(躁鬱病)に分類し、近代精神医学の基礎を築いた。その後、さまざまな精神医学理論が多くの精神医学者や臨床家によって構築され、この病の病因についてはさまざまな理論的、臨床的治験が試みられてきたが、21世紀の今日に至るまで、その病因についての統一理論が確立されることはなかったといっていい。
自閉症理論を手掛かりに、赤ちゃんが胎内で自立的学習活動をする際に、自閉症児の場合は、上下、左右が反転視した自己像を「他者」として認識するために、正立視した自己像と反転視した自己像(「他者」)の交信を脳内の幻声で行うという視覚と聴覚の錯綜した脳内の構造のなかに、その病因を求めることができる。普通は3歳未満の記憶は忘れられてしまうが、統合失調症者は胎内で自立的学習によって脳内に記憶した言語を記憶として止めているため、成長してからも記憶した言語を幻声によって呼び戻し、意味不明な言葉を発するという仮説をもとに、大胆な構想で自閉症理論から統合失調症理論へ、統一理論の仮説の構築を試みたユニークな考察である。

【著者略歴】
1947年福岡県に生まれる。九州大学理学部化学科卒業。九州大学大学院理学研究修士課程修了。民間化学会社に入社。研究部門に30年間以上勤務し、退職。現在、多文化精神医学会に所属し、精神医学理論の研究と著述に専念している。

目次

精神病因論のひとつの試み
――自閉症理論から心の病の統一理論へ
目次

はじめに

第1部
精神医学の隣接分野

序 章 精神医学の普遍理論とは何か

第1章 人類進化の歴史
1・人類の歴史
2・直立2足歩行の出現
3・人類の心(精神)の歩み

第2章 言語の獲得
1・記号システム
2・子どもの言語獲得(従来モデル)
3・子どもの言語獲得理論(仮説)
3・1・子どもの言語習得シナリオ/3・2・仮説の検証……いくつかの根拠
4・言語の起源と進化
5・動物は言語を習得するか

第3章 視覚と認識 49
1・視覚のメカニズム
1・1・視野闘争/1・2・静止網膜像/1・3・反転網膜像/1・4・距離、奥行き知覚
2・逆転めがねの世界
2・1・ストラットンの実験/2・2・ストラットン後の実験
3・反転網膜像と精神

第4章 脳とコンピュータ
1・脳の構造
1・1・大脳/1・2・大脳辺縁系/1・3・間脳/1・4・脳幹/1・5・小脳
2・記憶
2・1・記憶の成立過程/2・2・記憶の分類/2・3・記憶の場所はどこか
3・睡眠
3・1・睡眠の役割/3・2・レム睡眠とノンレム睡眠
4・ニューラルネットワーク
4・1・ニューラルネットワークの特徴/4・2・自律的学習と他律的学習

第2部
先進精神医学理論

第5章 自閉症理論
1・基本原理
1・1・精神の基本原理/1・2・精神の基本原理の詳細な説明
2・自閉症理論(病因仮説)
2・1・正立視の獲得/2・2・自閉症の本質/2・3・自閉症の病因(仮説)/2・4・言葉の遅れ/2・5・精神遅滞
3・仮説の検証
3・1・反転視の証拠/3・2・自閉症の理論的説明
4・予後

第6章 統合失調症理論
1・精神の基本原理とその詳細な説明
2・精神のサブ原理
3・出生から青年期までの精神発達モデル
3・1・反転視の時期(出生から1歳未満)/3・2・正立視獲得と自発的な発話(1歳から3歳未満)/3・3・基本的な言語能力の獲得(3歳から6歳未満)/3・4・心身の急成長期(6歳から思春期)/3・5・脳の再編期(思春期から青年期)
4・統合失調症理論(仮説)
4・1・前後反転視とその証明/4・2・統合失調症の本質/4・3・統合失調症の病因(仮説)
5・病因仮説の検証
5・1・陽性症状と陰性症状/5・2・疫学上の謎
6・予後

第7章 精神遅滞理論
1・内因性精神遅滞(自閉症との比較)
2・内因性精神遅滞理論(病因仮説)
2・1・内因性精神遅滞を引き起こすと想定される要因/2・2・内因性精神遅滞の本質/2・3・内因性精神遅滞の病因(仮説)
3・仮説の検証

第3部
誠心医学の普遍理論への挑戦

第8章 心の病の統一理論
1・理論の枠組み
1・1・精神の原理/1・2・病因理論と予防/1・3・精神疾患分類と治療
2・ヒトの精神発達モデル
2・1・就学までの主な精神活動(健常発達)/2・2・ヒトの精神発達モデル(新生児から青年期まで)
3・子どもの性格(原始的性格)
3・1・タイプP/3・2・タイプQ/3・3・タイプR/3・4・タイプS
4・ヒトの精神発達過程と精神障害との関係
4・1・タイプP 鬱病型(健常型)/4・2・タイプQ 躁鬱病型/4・3・タイプR 統合失調症型/4・4・タイプS 統合失調症型
5・内因性精神疾患の分類
5・1・発達障害グループ/5・2・混成人格障害(逆行性発達障害)グループ/5・3・統合失調症の古典的な亜型分類/5・4・躁鬱病と統合失調症
6・内因性精神疾患の病因論(仮説)
6・1・発達障害グループ/6・2・混成人格障害(逆行性発達障害)グループ/6・3・なぜ精神発達過程を逆行するのか

第9章 内因性精神疾患の予防と治療
1・精神疾患の予防
1・1・発達障害の予防/1・2・精神障害の予防
2・精神疾患の治療
2・1・発達障害の治療/2・2・精神障害の治療

あとがき

参考文献
引用文献

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