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「精神医療」 76号 [特集]ボーダーラインはどこへ

  • 高岡 健+太田順一郎[責任編集]
  • 価格 1700+税円
  • 判型:B5判、128ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0608-3
  • 初版発行年月 2014年10月10日
  • 発売日 2014年10月12日

内容紹介文

ボーダーラインは消えたのか!?
1960年代後半のアメリカで、表面的には物質的に恵まれた豊かな生活が円満な家族関係を包み込んでいたかのように見えたが、その表層的で強要されたいかがわしさに耐えられない若者たちは「偽りの自分」を演じることを拒否した。彼等に付けられた概念が「ボーダーライン」の始まりである。日本では1970年代後半から80年代にかけて浸透した「人格障害」概念で、家庭内暴力や病院内や診察室で暴れる彼/彼女ら、若者たちの病像を象徴していた。
こうした診断名はその概念や病像も時代の変化と共に変貌する。今日の様相は以前と同じではなく、「ボーダーラインは消えた」という見方からすれば、ボーダーラインは解離性障害、双極スペクトラムや依存症に席を譲ったということになる。他方、「ボーダーラインは増えている」という見方からすれば、精神分析から解放されようとしているという臨床現場の報告もある。
精神障害が明らかな場合は、自分の力ではどうにもならない異常体験に苦しめられているがゆえに、統合失調症型パーソナリティ障害(SPD)と診断されるが、神経症や異常人格の場合はそうではない。彼/彼女らは境界性パーソナリティ障害(BPD=ボーダーライン)と診断されるが、彼/彼女らの抱く焦燥、怒り、自己嫌悪はすべて正常心理の延長であって、自発的な行動に干渉する「させられ体験」に相当する重度の症状をもっているわけではない。
最近はボーダーが居なくなったと言われる一方で、「治りたがらない病人」という新たなボーダーラインが登場しつつある。ボーラーダインの背後にある事象を重層的に検証する総力特集。

目次

精神医療no.76
特集
ボーダーラインはどこへ

責任編集=高岡 健+太田順一郎

巻頭言*ボーダーラインの現在と行方
高岡 健

座談会*ボーダーラインはどこへ
塚本千秋+野間俊一+[司会]太田順一郎

ボーダーラインは消えたか
――消える虚像・残る実像
高岡 健

境界例と解離
柴山雅俊

境界性パーソナリティ障害(BPD)はどこに向かうか?
林 直樹

精神療法家の夢と挫折
――ボーダーライン問題によせて
井原 裕

ボーダーラインの今日の姿
――臨床心理の実践から
山田 均

ボーダーと自閉症スペクトラム障害の2つの特徴を併せ持つ患者の看護
――ボーダーに替わる対応困難例の考察
八木こずえ+鈴木大輔

コラム+連載+書評

視点―37*自動車運転と精神疾患 2
――道路交通法、新規刑罰
中島 直

連載*〈互酬性・アニミズム・シャーマニズム・トーテミズム〉―10
人類の共同性のルーツ 5)「トーテミズムと人類文化の発祥」(2)
森山公夫

連載*引き抜きにくい釘―43
精神療法を問う(5)
――または、カラーコンタクトが外せないわれわれと支援という名の罠
塚本千秋

連載*雲に梯―16
かんじょわり
久場政博

コラム*認知症施策への雑感
比留間ちづ子

書評*『責任能力を争う刑事弁護』(期成会実践刑事弁護叢書03)
東京弁護士会期成会明るい刑事弁護研究会編[現代人文社刊]
池原毅和

紹介*『聴覚障害と精神障害をあわせもつ人の支援とコミュニケーション――困難性から理解へ帰結する概念モデルの構築』
赤畑淳著[ミネルヴァ書房刊]
浅野弘毅

編集後記
太田順一郎

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