TOP メンタルヘルス・ライブラリー 精神病理学から何が見えるか

精神病理学から何が見えるか

  • 鈴木國文著
  • 価格 1800+税円
  • 判型:A5判、192ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0606-9
  • 初版発行年月 2014年9月10日
  • 発売日 2014年9月17日

内容紹介文

変容する精神科臨床のなかで、精神病理学が担うべき役割は何か!?

近年の精神科臨床は、症状と治療の関係を優先し、症状の背後に潜む病理の解明を避けてきた。精神科臨床にとって大切なことは、治療者が患者の生の全体をみる目をもって有効な治療法を選択することであり、精神科臨床が社会の中で担うべき役割を問い続けることである。専門家集団の知の荒廃現象が蔓延するなかで、精神病理学に課せられた課題は、精神医学が人間の知の体系の中にいかに位置づけられるべきかを考察し、精神病理学を実践的な知として組み立て直すことではないだろうか。
精神保健・医療・福祉にかかわる人たちの必読文献!

目次

MHL34
精神病理学から何が見えるか

まえがき

第一部
精神医学はどこへ

1章
異なるパラダイム、ひとつの臨床
――精神病理学の視点から精神医学の足場について考える
1・はじめに/2・異なるパラダイム/3・診断の徹底、診断の不在/4・精神と薬剤/5・考え続けること、決断すること/6・精神医学における理論の貧困/7・社会の中の精神医学/8・おわりに

2章
変容する社会と精神病理学
――精神障害と社会との連関をいかに「科学」するか
1・はじめに/2・20世紀末葉から21世紀初頭に何が変化したか/3・19世紀末葉から20世紀初頭に何が変化したか/4・これからの精神病理学の課題

3章
精神医学の裏面をなすもの
――なぜ精神医学は反精神医学を内に含むのか
1・はじめに/2・歴史としての反精神医学/3・反精神医学の思想――いかにして精神医学の外に出たか/4・制度と政治をどうとらえるか――脱施設化、制度を使った精神療法/5・おわりに――反精神医学がこれからの精神医学に残したもの

第二部
不安と精神療法

4章
精神療法における「知の伝達」と「問いの生起」
1・はじめに/2・指示的な精神療法と洞察的な精神療法/3・神経症概念が指し示すもの/4・精神療法における明示的方法と暗示的方法/5・知の伝達と問いの生起/6・おわりに

5章
精神病理学が神経症の精神療法にもたらすもの
――不安を通してみた精神療法の可能性
1・はじめに――二つの問い/2・医学の体系と「神経症」/3・不安に関する諸理論/4・神経症の治療と精神分析/5・おわりに――精神病理学と精神分析の知

6章
精神療法はどこへ向かうのか
――精神療法と「弱い知」としての精神医学
1・はじめに/2・Mesmerは「ペテン師」だったのか/3・裏をかかれる精神医学――Pinel、Charcot、Freud/4・精神医学は精神療法を切り離す/5・人格と精神療法/6・医療化と今日の社会/7・おわりに

7章
「解離」概念とアスペルガー障害
1・はじめに/2・解離概念の広がり/3・様々な解離現象とアスペルガー障害/4・おわりに――アスペルガー障害とヒステリーを並べてみたとき

第三部
自閉症と統合失調症
――言語と病理との関わりについて

8章
広汎性発達障害概念が統合失調症の病理学にもたらしたもの
――「infantia」概念を通して見る精神活動
1・はじめに/2・言語と発達/3・事例/4・統合失調症の病前と言語/5・言語の使用と〈他者〉/6・模倣の能力と注意共有/7・再び、infantiaについて

9章
統合失調症の素因、前駆期、発症
――広汎性発達障害との比較
1・はじめに/2・統合失調症型障害と統合失調症スペクトラム/3・統合失調症型障害の基盤をなすいくつかの人格概念/4・自閉症スペクトラム障害と言語の発達/5・統合失調症の前駆期から発症へ/6・広汎性発達障害の思春期、統合失調症の思春期/7・おわりに

10章
統合失調症の回復について
――病識と病感のズレという視点から
1・はじめに/2・統合失調症の経過と回復/3・おわりに

11章
「言葉は誰のものか」
――根源的トラウマと詩の言葉
1・はじめに――三人のユダヤ人/2・Celanの病歴/3・Celanの発症とGoll事件/4・言葉は誰のものか/5・CelanとMandelstam/6・Walter Benjamin――詩と翻訳を巡って/7・おわりに

あとがき

初出一覧

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