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精神保健福祉法改正

  • 太田順一郎+岡崎伸郎編
  • 価格 1800+税円
  • 判型:A5判、208ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0599-4
  • 初版発行年月 2014年5月2日
  • 発売日 2014年5月10日

内容紹介文

精神保健福祉法2013年改正は「改正」だったのか?!

精神保健福祉法2013年改正では、100年を超える日本型システム(強制入院の責任の一端を家族に負わせる制度)が撤廃され、歴史的大転換を遂げることが期待されていた。しかし結果は、医療保護入院の入院基準を緩和する"改正"でしかなかった。――精神保健・医療・福祉の構造的・普遍的問題を多様な視点から検証し、抜本的制度改革の方向性を明らかにする。
日本の精神障害者処遇の法制度は、明治33年(1900年)の精神病者監護法に始まり、精神病院法(1919年)、精神衛生法(1950年)、精神保健法(1987年)、精神保健福祉法(1995年)、精神保健福祉法の一部改正(1999年)を経て今回の改正に至るが、結局のところ、医療保護入院(強制入院)の入院基準を緩和する改正でしかなかった。確かに保護者の同意はなくなるわけだが、家族の同意は必要だから、3等親内の親族が誰でもが同意すれば強制入院は可能になる。これでは精神病者監護法時代の「精神病者を家族が監護する」法制度が継承されただけである。
現在、33万人も人たちが精神病院に入院している世界に比類無き現状は何ら改められることはなく、逆に増加していく危惧がある。厚労省の72,000床の退院促進策も遅遅として解消されないなかで、地域に受け皿がなければ入院継続するか家族の元に帰らざるを得ない。国家が責任主体であることの明記もなく、公費負担の家族サービスもなく、退院後の生活保障の予算措置もなく、結局は、家族の負担に依拠するほかないのが現実である。

目次

まえがき
太田順一郎

座談会
精神保健福祉法改正
良田かおり+池原毅和+木太直人+岡崎伸郎+[司会]太田順一郎
1◯はじめに/2◯精神保健福祉法改正に向けての現況/3◯保護者制度の廃止/4◯指定医の判断と家族の同意/5◯権利擁護と退院促進/6◯保護者制度がなくなったとき、家族は/7◯権利擁護制度と精神医療審査会/8◯14万人の適正化と入院判断/9◯家族支援・地域資源/10◯入院費用の負担は誰が?/11◯認知症の扱い/12◯非自発的医療の枠組み

精神保健福祉法の改正について
――保護者の義務規定の削除と医療保護入院の要件の変更について
山本輝之
1◯はじめに/2◯改正法制定の経緯/3◯保護者制度の廃止について/4◯保護者の義務規定の削除/5◯医療保護入院の要件の変更

今次精神保健福祉法改定は何を意味するか
吉岡隆一
1◯保護者制度に関する議論の展開と精神保健福祉法改正の概要/2◯厚生労働省案の内容の検討/3◯医療保護入院制度と新入院制度の性格/4◯「良質かつ適切な精神科医療の提供の確保に関する指針」の意味/5◯長期展望:判断能力なき医療同意、非自発的入院、障害者基本条約/6◯今次精神保健福祉法改訂の意義/補足◯本稿執筆後に浮上しつつある論点

精神保健福祉法の改正について
岩成秀夫
1◯はじめに/2◯保護者の義務規定の廃止/3◯医療保護入院における入院手続の整備と退院の促進/4◯精神障害の医療の提供の確保に関する指針の策定等/5◯まとめ

ユーザーにとって使い勝手の良い精神科医療福祉へ
八尋光秀
1◯はじめに/2◯誰のための精神科医療福祉か/3◯強制患者隔離の法律と政策の誤り――強制入院要件の緩和について/4◯ユーザーの地域生活を障害するもの/5◯これまでの100年これからの100年

精神保健福祉法改正
金田一正史
1◯はじめに/2◯「精神保健医療福祉の改革ビジョン」以後の改革の流れ/3◯検討チーム第3ラウンド 「入院制度に関する議論の整理」について/4◯改正法案について/5◯おわりに

認知症の人と精神保健福祉法
上野秀樹
1◯はじめに――認知症の人と精神保健福祉法の出会い/2◯認知症の人の精神科入院――本人の立場から/3◯認知症の人の精神科入院――家族・介護者の立場から/4◯認知症の人の精神科入院問題の解決のために/5◯最後に

「精神保健福祉法」の改正
――保護者制度の削除の意義
川崎【立に可のサキ】洋子
1◯精神障害者とその家族に関わる制度とその政策的経緯について/2◯保護者制度とは…/3◯保護者制度の問題点/4◯医療保護入院の現状/5◯家族の状況/6◯国の制度に見る家族支援/7◯保護者制度削減後の家族の在り方/8◯地域社会で普通に暮らせるために…/9◯保護者制度後の新たな取り組み

法改正を足がかりに取り組む改革の展望と課題
大塚淳子
1◯はじめに/2◯法案作成のブラックボックスで働いた力/3◯法改正への経緯(1995年および1999年付帯決議、2010年閣議決定等)/4◯改正法案のポイント/5◯おわりに

精神保健福祉法の見直しについて
山本深雪
◯人権侵害を立法府である国会は見過ごしていいのだろうか?/◯経験を無駄にするのは、もったいないし、してはならない。

改正精神保健福祉法第41条
太田順一郎
1◯はじめに/2◯精神保健福祉法の系譜――平成7年改正まで/3◯精神障害者福祉の歴史的経緯と41条指針/4◯精神科医療の歴史的経緯と41条指針/5◯「41条指針」の内容について/6◯「指針案」の個別項目に関して/7◯おわりに

良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案


精神保健福祉法2013年改正の教訓
岡崎伸郎
1◯序言――精神保健福祉法2013年改正は“改悪”だった/2◯2013年改正に至る経緯/3◯国会附帯決議という財産/4◯2013年改正の問題点整理/5◯結語

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案に対する国会附帯決議

[資料]
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案 新旧対照表

あとがき
岡崎伸郎

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