TOP サイコ・クリティーク 星降る震災の夜に ある精神科医の震災日誌と断想

星降る震災の夜に ある精神科医の震災日誌と断想

  • 岡崎伸郎
  • 価格 1785円
  • 判型:46判、224ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0567-3
  • 初版発行年月 2012年9月25日
  • 発売日 2012年9月27日

内容紹介文

「3.11」は寒い日だった。...今まさに地上で起きつつある惨禍をよそに、私は天空の神々しいまでの美しさに見とれた。...満天の星の下にいると、人は天空そのものに抱かれている感覚をもつことができる。自分が世界の些末な一部であること。逆にその些末な自分が世界を認識している(らしい)こと。自分の存在する時が悠久のなかの一刹那であること。そうしたことごとを、星の降る空間に放り出されながら体感するのである。......
東日本大震災を無我夢中で生き延びて診療を続けたひとりの精神科医の鬼気迫る震災日誌、そして思索の軌跡。

......人間がこの星空を忘れて暮らすようになってからどのくらい経つのか。それはたかだか数十年のことに過ぎないだろう。有史以来の大半を、人はこの星空と共に生きてきて、最後のたった数十年でそれを失ったに違いないのだ。石油と電気による第二次産業革命以後のこととしても、たかだか百年足らずのことである。人類史におけるこの加速度的変化の短期間を、私たちは極めて特異な時代として認識しておく必要がある。[本文より]

大災害の時、中くらいの被災者がもっとも饒舌になる。自分の安全だけは何とか確保されて、周囲を観察する余力が僅かに残されているからだ。逆に、根こぎやられてしまった人は言葉を失って沈黙せざるを得ない。語り出すにしても時間を要するだろう。そういう意味において私の場合は、家族は無事であり、家は住み続けることができ、職場も機能麻痺はしたが壊滅しなかったということで、典型的な中くらいの被災者であった。その立場だからこそ、状況を見つめ、考え、語る務めもあろうというのが、本書をまとめる動機の一つになった。[本文より]

目次

星降る震災の夜に――ある精神科医の震災日誌と断想

まえがき………3

1.星降る震災の夜に………10
2.ある精神科医の震災日誌(3・11以前、3・11とその後)………19
3.災害と精神医療………81
4.東北人の精神性を患者さんに教えられる………107
5.「生き延びるための第六感」そして「てんでんこ」………141
6.国分町“BACCHUS”の無事………154
7.何が心を癒やしたか………168
8.予兆としての創作と“狂気”………185
9.「知の敗北」に学ぶために………198

あとがき………221

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