TOP [雑誌]精神医療 精神医療67号 精神障害をめぐる法制度のゆくえ ――精神保健福祉法、障害者自立支援法

精神医療67号 精神障害をめぐる法制度のゆくえ ――精神保健福祉法、障害者自立支援法

  • 岩尾俊一郎+古屋龍太(責任編集)
  • 価格 1785円
  • 判型:B5判、144ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0562-8
  • 初版発行年月 2012年7月10日
  • 発売日 2012年7月12日

内容紹介文

厚生労働省による精神保健・医療・福祉改革の諸施策は、違憲訴訟の対象である「障害者自立支援法」をはじめ、触法精神障害者に対する治療と社会的入院という名の収容施策ともいうべき「医療観察法」に見られるように、時代の流れに逆行する施策となっているものも多い。
今回も精神保健福祉法、障害者自立支援法の見直し作業のなかで、当初は「障害者総合福祉法」の法制化として位置づけられていたが、それがいつの間にか、障害者自立支援法を手直ししただけの「障害者総合支援法」という形になっている。障害者自立支援法は廃止の方向が決まっているにもかかわらず、手直し作業の必要があるのだろうか、という疑問と同時に、「障害者総合福祉法」の法制化に代わって「障害者総合支援法」で乗り切ろうとしている(2012年4月26日、民主、自民、公明の3党合意で衆議院で可決した)。

精神保健法の制定に尽力した広田伊蘇夫は「精神病者に関連する法体系と社会的処遇は、国家の自由・平等・人権思想の成熟度を示すバロメーターであり、問い続けるべき課題である」と指摘した。広田の言に従えば、精神衛生法から精神保健法への転換は、1987年時点での国家の成熟度を示し、自由・平等・人権擁護を求める市民運動と国家とのせめぎ合いの中から生まれたとりあえずの妥協点であり、今後とも状況の変化に合わせた改定が必須であるといえよう。本特集で取り上げた精神保健福祉法、障害者自立支援法(本号発刊時には障害者総合支援法と改定されているかもしれない)などは、精神保健福祉医療に従事する人々があるべき姿を見据えながら、その理念型に近づくために日々改定の努力を続けるべき課題であると考える。


目次

目次
[巻頭言]現実とのせめぎ合いから生みだされる「精神障害と法」の弁証法的関係(岩尾俊一郎)
[座談会]精神障害法の望まれる姿(池原毅和+石毛えい子+北野誠一+高木俊介+[司会]岩尾俊一郎+古屋龍太)
精神保健福祉法から医療法へ(伊藤哲寛)
精神保健福祉法をどう変えるのか(竹端寛)
当事者の人権確保の観点から(関口明彦)
これからのためにも、あまり立派でなくても、過去を知る(立岩真也)
精神障害のある人の自己実現が可能な社会をめざして(大塚淳子)
総合福祉法は精神障害をいかに位置づけようとしたのか(三田優子)
コラム+連載+書評
視点29 福島県相双地区における地域精神保健福祉活動の展開(須藤康宏)
〈互酬性・アニミズム・シャーマニズム・トーテミズム3〉人類の共同性のルーツ2)アニミズム(森山公夫)
コラム 東日本大震災の支援者支援――支援者であり被災者である人達を支えるということ(高橋葉子)
引き抜きにくい釘34 神経症の系譜[4](塚本千秋)
雲に梯10 命アルアイヤ(久場政博)
書評『認知症ケアの知好楽――神経心理学からスピリチュアルケアまで』山崎英樹著[雲母書房刊](阿保順子)
書評『精神科臨床倫理 第4版』シドニー・ブロック,ステファン・A・グリーン編/水野雅文,藤井千代,村上雅昭,菅原道哉監訳[星和書店刊](浅野弘毅)
書評『精神医療の光と影』高木俊介著[日本評論社刊](横田泉)
編集後記(古屋龍太)

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