TOP 歴史のなかの闇を探る 会津藩流罪 故郷を追われた難民からの再出発 復旧、復興に六十年

会津藩流罪 故郷を追われた難民からの再出発 復旧、復興に六十年

  • 星 亮一
  • 価格 2100円
  • 判型:46判、280ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0560-4
  • 初版発行年月 2012年5月25日
  • 発売日 2012年5月30日

内容紹介文

歴史の流れに翻弄された無垢の民への鎮魂と挽歌の書

3・11大震災と原発事故によって多くの命が失われた東北の地で、故郷を追われた被災者の姿は、143年前の明治藩閥政府による会津藩流罪を彷彿させる。近代から現代に至る時代の転換期におけるこの国の強権的差別性を多くのエピソードと史料によって跡付ける。

[著者のことば]
私は東日本大震災で衝撃を受けた。津波で未曾有の損害を出した三陸海岸、東京電力福島第一原子力発電所の事故で故郷を追われた福島県双葉地方の人々を追い続けてきた。
その時、脳裡に浮かんだのは、わずかばかりの荷物を背負った一万数千人の人々が、北海道や旧南部藩の地に移り住んだ会津藩の悲劇だった。それは生活のあてもない難民だった。
これらの人々は、漁業者の空き家や農家の納屋、物置を借り、避難生活を始めたが、生活の目途がたたず、厳しい寒さと飢えに苦しみ、老人、子供が次々と命を落として行った。
そうした生活に陥ることは、当初から予測されたものだった。明治政府は、激しく抵抗した会津の人々に流罪を課すことで、自らの権威を確立せんとした。
原発事故で追われた人は、全国各地に散り、また福島県内の仮設住宅で不自由な暮らしを続けている。これらの人々を第二の難民としてはならない。その思いで、『会津藩流罪』を書いた。
[著者略歴]
1935年 宮城県仙台市生まれ。東北大学文学部国史学科卒。日本大学大学院総合社会情報研究科修士課程修了。福島民報社記者、福島中央テレビ報道制作局長を経て、現在、歴史作家。
戊辰戦争研究会を主宰。日本文芸家協会会員、福島県郡山市在住。
*先祖は仙台藩重臣・佐藤宮内の家中で四代前の万右衛門は江戸で稲富流砲術を学び、仙台に帰り砲術師範を務めた。

目次

【目次】
第一章 会津落城
城中に婦女子六百人が籠城/降参(降伏)の白旗/処分原案は蝦夷地への追放/木戸孝允の方針/東蔵太の記録/南部藩の地に三万石/公用人広沢安任/勝海舟も骨をおる/抜刀騒ぎ/政務は梶原平馬、軍事は山川浩
第二章 斗南藩
皇国の民/大海原/下北半島/アメリカの貨物船/地元民の目/昔の事/円通寺に泊まる
第三章 凍餃蛮野の地
凶作と飢饉/髑髏や手足の骨が散乱/困難を極めた民族大移動

第四章 移住者たちの記録
1 日向ユキの家族/野辺地に住む/2 大庭勇助の家族/荒涼とした光景/3 間瀬みつの家族/女だけの斗南行き/4 高嶺幾乃子(きのこ)の家族/5 荒川類右衛門の家族/奇妙な踊り/恐山/6 柴五郎の家族/柴五郎の一家/野犬を食べる/会津のゲダカ
第五章 苦難の日々
廃刀令/権大参事 山川浩/性質怜悧/性格は負けん気/少参事 広沢安任/全幅の信頼/大義の心/寒立馬/少参事 永岡久茂/熱血の人/雄弁・折衝の才/天下国家/倉沢平次右衛門と内藤信節/官僚群/住まいの確保/冷やかな眼/斗南藩存立の危機/田辺軍次の復讐/新渡戸に泣きつく/広沢安任の超人的努力/山川浩を斬れ/広沢安任の対応
第六章 廃藩置県
第二の大改革/贋金づくり/六人打ち首/青森県誕生/惨憺たる結果/容保、下北へ/すすりなく声/我らは朝敵にあらず/会津の主従たち/雪に埋まる/貧民の暮らし
第七章 山川浩に密偵の影
何をなすべきか/密偵荘村省三/鹿児島に向かう/山川浩を懐柔せよ/土佐人/潮どき/征韓論起こる/谷干城怒る/熊本鎮台参謀/二人の副官/山川浩負傷/小出鉄之助の死/六年ぶりの会津/
第八章 思案橋事件
政府転覆/前原と奥平/突然の来客/蜂起失敗/三浦梧楼の回顧
第九章 広沢牧場
強固な意志/木崎の牧/開牧社/広さ千四百万坪開牧五年/明治天皇の東北ご巡幸/天皇の馬車/教師の道/会津様の到来
第十章 姿を消した梶原平馬
史書から抹殺/事実は異なる/河井継之助との密約/三戸に移住/東京から函館へ/女紅場/根室県御用掛/沈黙の謎/遠藤進之助という人/勝てば官軍、負ければ賊軍/南部藩の執念/突然の死
第十一章 北海道に生きた会津人
1 雑賀孫六郎/北海道開拓使/山越郡長/傷心惨目の碑/遺愛女学校/日向ユキの想い出/ささやかな祝言/2 赤城信一/会津藩医/開拓使からの招聘/濃霧のため遭難/ケプロン/病院建設/キリスト教との出会い/室蘭病院/仙台藩士の入植/功名富貴は幻/3 高橋常四郎/いたどりの譜/教師に招かる/息子は漁師、娘は牛飼/岩内私学校/4 星野義信/一冊のノート/祖母に育てられる/函館会所学校へ/根室へ/5 会津藩御側医小池求真/落城の朝/斗南残酷物語/三男誕生/ペストと戦い殉職/6 丹羽五郎/復讐者/平民となる/北海道の大地/利別原野/資金確保に奔走/移住者は四十九人/抱き合って寝る/自作農の創設
第十二章 会津若松に残った人々
ヤーヤー一揆/悄然たる有様/様最初の布告/残留組/散乱する遺体/1 町野主水/偉丈夫/負けは負け/若松県/町野の遺言/2 伴百悦と高津仲三郎/遺体の改葬/慶喜に苦言/束松事件/3 海老名季昌/幕末の家老/梶原の耳うち/若松市長事務取扱/4 西郷頼母/異質な高官/運命のいたずら/5 相馬直登/火事装束/農兵隊長/日常生活/容保の肖像
第十三章 会津人子弟群像……●
命がけで勉強/1 山川家の兄妹/岩倉使節団/女子留学生/山川浩の深慮遠謀/近代国家のモデル/言葉が通じず/山川健次郎も訪米/2 執念の人柴五郎/県庁の給仕/二年ぶりに白米/野田家の家僕/密航を企てる/みつも働く/東京に出る/幼年学校を志願/山川家に居候/五郎の金を借用/欣喜雀躍/終生忘れぬ温情/3 海の勇者出羽重遠/城内でタコ上げ/静岡で勉強/海軍を選ぶ/上官が東郷平八郎/大湊軍港/妹と涙の再会/4 外交官林権助/祖父と同じ名前/東京に出る/薩摩の友情/俺はサムライ/一高から東大/5 明治学院総理、井深梶之助/髷を切って籠城/小姓役/母の叱咤/ブラウンに弟子入り/明治学院/長州嫌い/6 美術教育の高嶺秀夫/ペスタロッチ/7 小公子の若松賤子/父は探索方/横浜の商人/女子教育のはしり/完璧な英語/女学雑誌/女子教育無用論/光彩の人生/8 山川捨松/日本語を忘れる/大山巌と結婚
第十四章 西南戦争
薩摩の反乱/火薬の搬出/感慨無量/渡河作戦/入城に成功/喚呼の渦/佐川官兵衛死す/会津抜刀隊/もう一つの西南戦争/会津弁
第十五章 多年の雲霧ここに晴れたり
1 松平容保/寡黙な性格/東照宮宮司/皇太后陛下の牛乳/2 山川浩の晩年/死ねや死ね/維新史の壁/御宸翰の威力/京都守護職始末/余命を捧げたい/白虎隊への想い

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