TOP 精神医療と人権を考えるサイコ・クリティーク 「孤独」から考える秋葉原無差別殺傷事件

「孤独」から考える秋葉原無差別殺傷事件

  • 芹沢俊介, 高岡健
  • 価格 1785円
  • 判型:四六判、192ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0547-5
  • 初版発行年月 2011年9月
  • 発売日 2011年9月25日

内容紹介文

2008年6月8日、秋葉原の歩行者天国で勃発した秋葉原無差別殺傷事件は、なぜ起きたのか。加藤智大被告の携帯サイトの掲示板への書き込みから事件の深層をえぐり出し、引きこもれなかった若者たちの孤独をキーワードに事件の真相を再検証する。
「誰でもよかった」という告白の背後に潜む殺意は、家族という絆が断たれたときの衝動に根ざしている。家族の変容から無差別殺傷事件へ至るプロセスを具体的に解明しながら、社会の底辺に沈殿する個の崩壊の内実を家族論的考察と精神医学的の知見によって解読する。

目次

まえがき
第1章 秋葉原無差別殺傷事件は、なぜ起きたのか
親殺しに先行する子殺しとしての事件の性格/「孤独だと無差別で殺す」という携帯サイトの意味/幼児期の受けとめ手の不在と孤独のあり方/事件の要因――行動化の精神分析/言語以前のコミュニケーションの受けとめ手の不在/生育歴にみる原初的母性的没頭体験/クライン、ウィニコット、フロイトの分析視点から考える/クラインの孤独理解/フロイトの寄る辺なさ/ウィニコットの死の欲動
第2章 心的現象としての掲示板への書き込み
携帯サイトの掲示板にみる「本音」と「本心」/自己表出・指示表出として表現された孤独の世界/移行対象としてのおっぱいと携帯ツール/掲示板にみる遊びと生活と生きる術/信頼と依存の存在論的意味/偽りの自己と本当の自己――する自己とある自己の断層にみる本心の諸相/主観と客観(現実)の中間領域への依存と没入/生きられる孤独の領域――引きこもる世界の肯定化へ/引きこもる場――還る場・安心できる場としての家族の有り様/絶対的に依存できなかった掲示板
第3章 自殺未遂から無差別殺傷事件へ――自殺論の射程
表現型オタクにとっての主体の危機――ネット社会の限界/三回の自殺未遂事件/柔らかく温かい家族関係の再現を夢みて/最後の旅行へ――死への旅立ち/二人の女性との遭遇――安らぎという希望を求めて/死への欲動と生への欲望/「誰でもよかった」という孤独の背後に潜む衝動/無差別殺傷事件という行動化の心性――肥大化した母親像の殺戮/目標を失った閉鎖集団の自殺とリンチ――自衛隊の集団本位自殺とアノミー状態/宿命論的な無差別殺傷事件から何をどう読み取るか
終 章 秋葉原無差別殺傷事件の総括と補論――裁判をめぐって
裁判官・検察官はこの事件をどうとらえたのか/不細工な自分という自己規定の虚構――母親の愛への渇望/教育家族の親殺し事件――「いい子」になりきれない子の親の子殺し/木を見て森を見ない検察官の発想/死刑制度存置の根拠は崩壊している/真の反省とは何か――死刑制度の基本的問題/親の責任の取り方を考える/裁判員制度は死刑制度と存置するためにあるのか
資料編 資料1 検察側冒頭陳述の詳報/資料2 弁護側冒頭陳述の要旨/資料3 加藤被告の供述要旨/資料4 加藤智大に対する殺人等被告事件の判決要旨
あとがき

関連書籍