TOP 性差別と医療・福祉・社会差別と人権を考える 新装版 優生思想と健康幻想─薬あればとて、毒をこのむべからず

新装版 優生思想と健康幻想─薬あればとて、毒をこのむべからず

  • 八木晃介著
  • 価格 2520円
  • 判型:46判、264ページ、上製
  • ISBN 978-4-8265-0543-7
  • 初版発行年月 2011年7月22日
  • 発売日 2011年7月25日

内容紹介文

優生思想(社会ダーヴィニズム)と健康幻想(ヘルシズム)の反知性の論理とその対抗論理の実際を多くの具体的事例によって根源的に抉り出す3部作!

いま、健康幻想が一人歩きしている。喫煙者の副流煙による他者への迷惑、激痛からときはなたれた安楽な死、臓器移植によるもう一つの命の救命、という世間の常識の背後でいったい何が起きているのか。
喫煙やアルコール依存による「生活習慣病」や「メタボリックシンドローム」には医学的根拠がないにもかかわらず、個体差を無視した健康診断という名の国家管理によって病気・病弱・障害を優生イデオロギーで区分けし、脳死・臓器移植の法制化と相俟って、総医療費の抑制のために認知症高齢者への安楽死・尊厳死・治療放棄の医療政策が合法化されようとしている。

尊厳死法制化の動向と脳死・臓器移植法はメダルの表裏である。終末期の激痛から解き放たれたい病者の願いと、臓器移植によるもう一つの命の救命という世俗的な常識の背後で、臓器売買と移植医療の利害が複雑に絡んだなかで何が起きているのか一切闇のなかである。
国家による個々人の心身管理によって難病者、重度重複障害者、高齢者を優生思想によって「生きるに値する生命」と「値しない生命」に区分けする一方、精神障害者を社会防衛的な医療観察法によって医療保護入院、措置入院によって矯正する法制度を整備し、脳死・臓器移植の法制化と相俟って、総医療費の抑制のために認知症高齢者への安楽死・尊厳死・治療放棄の医療政策が合法化されようとしている。
治療国家の内実をさまざまなケーススタディをとおして実証的に明らかにする。

好評既刊
『生老病死と健康幻想─生命倫理と優生思想のアポリア』

『新装版 健康幻想の社会学─社会の医療化と生命権』

目次

序章 原発人災から親鸞を想い、優生批判にいたる
 1 愚者と賢者の具縛性
 2 「死の物象化」と「苦・楽」の位置づけ
 3 「贈る者」と「贈られる者」との非対称性
 
第1章 消える〈老人〉・消される〈老人〉――「死なせる医療」とアウトサイダー
 1 はじめに
 2 <老人>安楽死への経済的強制とその虚構性
 3 安楽死への経済外的強制とホスピスの両義性
 4 「みなし末期」と「死なせる医療」
 5 おわりに

第2章 老いの可能性とエイジズム――「社会問題としての高齢化社会」論批判
 1 はじめに
 2 構造化された「依存」と「無力」
 3 世代間葛藤イデオロギーと優生思想
 4 「死の義務」と「死なせる医療」
 5 マージナリティとしての<老人>、その可能性?「結び」にかえて

第3章 逸脱の医療化と医療の逸脱化
 1 はじめに
 2 逸脱の医療化と社会統制
 3 メタボ健診と治療帝国主義
 4 「死」を「生」の資源として消費する!
 5 おわりに

第4章 当事者概念をこえて
 1 はじめに
 2 「当事者」論と私の個人的体験
  2?1 部落問題に関して
  2?2 「安楽死・尊厳死法制化を阻止する会」活動
 3 「当事者」概念について
  3?1 社会問題の構築主義
  3?2 「当事者」の内容
  3?3 「当事者」概念の陥穽
 4 「当事者」と「援助者」
 5 おわりに
 
第5章 「もつこと」と「あること」――いのちを考える
 1 私の“パプチノコン”経験
 2 生臭い「臨死」という概念
  2?1 「臨死」を強調する議員連盟
  2?2 尊厳死協会の「延命措置中止」要件
 3 「他者の死」を待ち望むのか
  3?1 脳死は「人の死」ではない
  3?2 家族は本人意思を代行できず、してはならない
 4 臓器部品化と優生思想
  4?1 ヴァルネラブルなドナー
  4?2 「死」は「生」の資源か
 5 私たちの方向性
  5?1 バクバクの会「いのちのにんげん宣言」
  5?2 行動綱領

第6章 医療的「知足安分」主義と優生思想
 1 「苦痛」の主体的解釈
 2 パンデミックとメタボにみる「人間の医療化」
 3 脳死を「人の死」とする呪縛と陥穽
 4 「不治」であっても「末期」ではない生命の処遇
 5 おわりに


あとがき

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