差別論研究

  • 八木 晃介
  • 価格 2940円
  • 判型:四六判、356ページ、上製
  • ISBN 978-4-8265-0516-1
  • ISBN 4-8265-0516-7
  • 初版発行年月 2010年01月
  • 発売日 2010年02月01日
書籍の購入
セブン&アイ ビーケーワン 紀伊国屋BookWeb

内容紹介文

差別とは何であって、何でないのか。
部落差別に淵源をもつ社会意識としての差別は、近代市民社会の行政施策によって一定の成果を得ながらも、いまだに民衆意識の深層には根強く沈潜している。
近代的価値観の制度化されたシステム(資本主義)は、部落差別によって醸成された差別意識を包摂しつつ形成されたがゆえに、民衆意識に沈潜する社会意識としての差別は行政施策によって解消されることはない。
部落解放運動は、近代市民社会へ同化するのではなく、それを超えた新たな人間像と理念を模索しつづける以外に解放への現実性を獲得することはないといえる。
差別の本質を部落問題の自然史的考察をとおして解読し、解放への視座を提示する。

目次

序論

第一部 部落問題の自然史
序 ??章 「だまし舟」の差別論
他者に影響をおよぼそうとする方法としての差別/「感じる」意識と「感じさせる」意識/不幸がうみだす差別/〈癒し〉としての差別/社会の「常在的な罠」としての差別/他者を「もう一人の自己」として
第一章 差別とは何であって、何でないのか
[1]はじめに/[2]差別は「原罪」である?/[3]「無知・誹謗・中傷」は差別である?/[4]「同和地区問いあわせ」は差別である?/[5]やや饒舌気味の「結論」
第二章 部落解放運動とは何であったのか――「貧困の近代化」という名の敗北
[1]価値志向と利益追及/[2]不利益と差別/[3]「賦与」は「剥奪」である/[4]捨てる勇気と創り直す気概
第三章 部落解放同盟は「使命を終えた組織」なのか――社会運動としての部落解放運動・社会運動組織としての部落解放同盟
[1]問題意識の所在/[2]「手段と目的」の弁証法/[3]部落解放運動とフリーライダー問題/[4]大衆団体と「情緒」/[5]大衆団体、活動家集団、そしてネットワーク/[6]結論
第四章 部落問題は何処へいくのか
[0]はじめに/[1]部落問題の個人史/[2]朝田理論と同対審答申/[3]行政と運動の方法的一致の「光と影」/[4]部落問題の行方/[5]「第二世代の部落問題」の考え方/[6]部落史見直し作業に示唆される「人間関係組みなおし」への展望

第二部 個人紙『試行社通信』で跡付ける私の思考経路(一九九一年?二〇〇九年)
[第1稿]「同和」から「異叛」へ――柴谷篤弘さんに触発されて/[第2稿]「部落民アイデンティティ」の亀裂/[第3稿]部落解放運動にイデオロギーは不必要?? /[第4稿]コミュニタスと宗教/[第5稿]「水平社宣言」モデルか、「同対審答申」モデルか――徹底討論「人間に光あれ」/[第6稿]対抗ヘゲモニーをかんがえる/[第7稿]二重底になった被差別層――色川大吉さんの「問題発言」におもう/[第8稿]「この紋所が目にはいらぬか」――被差別者をも破壊する「立場の絶対化」/
[第9稿]部落解放同盟綱領改正への私的覚書/[第10稿]部落解放運動の「同伴者」であることの意味/[第11稿]部落出身学生の新たな悩み/[第12稿]「特殊部落」表現を再考する/[第13稿]京都・七条部落でかんがえる/[第14稿]糺弾闘争は「運動の生命線」か、それとも「百害あって一利なし」か/[第15稿]差別糺弾闘争・再論/[第16稿]「差別する側」もカムアウト/[第17稿]差別糺弾のオルタナティブ・イメージ/[第18稿]全水八十周年におもう/[第19稿]ふたたび、みたび、部落解放研究全国集会の助言者/[第20稿]差別は「利権」の資源?/[第21稿]続・差別は「利権」の資源?/[第22稿]人権擁護法案への私的な感想/[第23稿]誹謗・中傷・揶揄・愚弄と差別/[第24稿]社会問題としての「同和不祥事」/[第25稿]奈良の部落解放運動に提言したこと/[第26稿]「同和利権」をどのように総括するのか/[第27稿]何が差別で、何が差別でないのか/[第28稿]自作自演の「差別」事件にため息

あとがき

関連書籍