TOP 差別と人権を考える 新装版 健康幻想の社会学

新装版 健康幻想の社会学

  • 八木晃介著
  • 価格 2625円
  • 判型:46判、312ページ、上製
  • ISBN 978-4-8265-0493-5
  • 初版発行年月 2008年10月
  • 発売日 2008年10月20日

内容紹介文

優生思想(社会ダーヴィニズム)と健康幻想(ヘルシズム)の反知性の論理とその対抗論理の実際を多くの具体的事例によって根源的に抉り出す3部作!

健康とは何か? 
個人の身体や精神の有り様を国家が管理する治療国家とは何か?
健康は誰しもが希求してやまないものだが、健康増進法の施行以降、健康を維持し増進することが国民的義務として位置づけられ、成人病から「生活習慣病」への名称変更によってつくり出された「病者」は、社会的義務の不履行者として制裁の対象になりかねないと同時に、自己決定・自己責任という無責任な責任転嫁によって、コンプライアンスという抗い難い法規制の下に、社会規範からの逸脱を許さない社会的雰囲気が醸成されつつある。
国家による勧善懲悪的な身体管理の背後には危険な優性思想はないのだろうか。後期高齢者医療制度をはじめとする、高齢者の医療と介護が重くのしかかるなかで、安楽死・尊厳死という死の自己決定は、個々人の善意を超えて社会的な領域に転換してしまう可能性がある。
少子高齢化社会の到来を機に、総医療費抑制を大義名分とする国家による心身管理の内実をあますところなく具体的に解明した医療社会学の新展開。

好評既刊
『生老病死と健康幻想─生命倫理と優生思想のアポリア』

『優生思想と健康幻想─薬あればとて、毒をこのむべからず』

目次

序章 「治療国家の殺意」とむきあう─ひとまず「生きる」ために

1.「治療」国家の出現/2.「治療」国家の殺意/3.「逸脱者から消費者へ」の限界

第1章 健康至上主義と「癒し」イデオロギー?禁煙言説にみつ健康の義務化
1.はじめに
2.医原病としての「喫煙病」、そして禁煙ファシズム
3.「癒す」権力と「癒される」権力
4.「与死」もまた「癒し」の社会政策なのか?
おわりに

第2章 ヘルシムズの納得強制パワー?健康増進法と優性思想
1.問題の所在
2.健康増進法の問題性
3.イデオロギーとしっての<健康>
4.健康増進法と優性思想
5.結論

第3章 「生命の消費」としての医療?パターナリズムと自己決定権
1.はじめに
2.儀式と祝祭
3.神と悪魔
4.パターナリズムと死の人為
5.安楽死・尊厳死と自殺
6.何もかも「病気」である(結論にかえて)

第4章 オソレの回収メカニズムとしての安楽死・尊厳死?医療と差別
0.はじめに
1.「安楽死・尊厳死」とは何か
2.「安楽死・尊厳死」をめぐる動向
3.「違法性阻却事由」自体の問題点
4.日本安楽死協会と日本尊厳死協会の思想的異同について
5.「安楽死・尊厳死」思想は優性思想である
6.「延命中止」ガイドライン批判
7.おわりに

第5章 ウチとソトの優性主義を糺す?安楽死・尊厳死の状況的文脈
1.はじめに
2.少子高齢化の経済的文脈
3.「自己責任」論の文脈
4.優性思想の文脈
5.おわりに

第6章 自我論からみた脳死・臓器移植?<自己・非自己・他者>の疫学社会学
1.問題意識の所在
2.自我の社会性と主体性
3.自己決定と他者共鳴
4.自己免疫主体としての<私>
5.おわりに

あとがき

索引

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