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中国巨大資本主義の登場と世界資本主義

  • 五味久壽
  • 価格 3150円
  • 判型:A5判、304ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0427-0
  • ISBN 4-8265-0427-6
  • 初版発行年月 2005年08月
  • 発売日 2005年08月25日
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内容紹介文

WTO加盟以降の中国資本主義の驚異的な勃興は、その巨大な国土と、13億という膨大な労働力に支えられた世界市場に匹敵する圧倒的な市場に、その源泉を求めることができる。

中国の国内市場は厳しい市場競争の中で培われたIT産業、自動車産業、繊維・衣料産業は海外輸出市場から国内市場の開拓へとシフトしつつあり、韓国、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、インドネシア諸国のアジア資本主義の勃興を背後で支える多層的・多次元的市場である。

対照的に衰退の一途を辿る日本製造業は、バブル崩壊によってかつての栄光の座から滑り落ち、未だに構造不況から抜け出せていない。97年のアジア為替決済危機に際して円がアジア基軸通貨たりえなかったことはその後の日本経済を象徴している。

ドル・ユーロが基軸通貨として支配するグローバルキャピタリズムの停滞と元が支配するアジア資本主義の勃興こそ21世紀世界の新しい世界図になるのかもしれない。

中国経済分析の第一人者による待望の一冊!

目次

序 ―本書の課題と構成に寄せて
第1章 中国のWTO加盟とドル・ユーロ・人民元・円関係の変化―中国産業・日本産業の世界市場的役割の変化とその意味 /1.アジア為替決済危機から中国のWTO加盟へ/2.中国製造業によるアジア産業の再編/3.ドル・ユーロ・人民元・円関係の変化/4.アメリカ資本主義の二重性とその中国との連関
第2章 戦後日本資本主義と日本産業の根本問題 ―伊藤誠の所説に関連して/第1節 中国・アジア資本主義の台頭の意義―グローバルキャピタリズムの表層化、実体面を担う中国巨大資本主義の登場 /1.世界IT産業の生産拠点化した中国・アジア 1 中国をセンターとするアジア資本主義の競争力の増大 2 日本半導体産業、IT産業、バイオ産業と対アジア連携 3 台湾IT産業を取り込んだ中国IT製品の輸入増圧力 4 中国・アジアシステムの一部分としての日本へ 5 中国における新産業革命と新資本主義の起動/2.アメリカ金融資産バブルのバスト? 1 グローバルキャピタリズムの不安定の増大 2 アメリカ金融資産バブルバストの現実問題化 3.伊藤誠の欧米マルクス主義的課題設定 1 宇野経済学の現状分析と欧米志向 2 フランクの『リオリエント』が提起したアジアシステム評価/第2節 伊藤誠「大不況」シナリオの方法論と時期区分/1.戦後資本主義の第1幕の帰結は「大不況」一般か? 1 伊藤「大不況」シナリオの抽象性 2 伊藤「世界資本主義論」は独自性を持っているのか? 3 1980年代のFA・OAはIT革命と連続するか?/2.伊藤「世界資本主義論」の方法的限界 1 伊藤の官庁的マクロ経済学的分析方法の限界 2 歴史的現実はモデル化された資本主義の例解か 3 資本主義分析の内面化された方法論はどこへ行ったか? 4 通俗的マルクス経済学者伊藤誠の限界/3.伊藤理論の雑学的性格 1 金融市場資本主義の実践家・実務家ソロスと伊藤 2 伊藤の不正確なレギュラシオン理解
第3章 中国資本主義の台頭に直面して、日本資本主義に何が問われているか/第1節 金子勝の危機認識に寄せて 1.ITバブルの崩壊による国際金融危機 2.日本資本主義の財政破綻と景気梃入れ政策の無力化 3.マルクス経済学に対する金子の揶揄 4.心優しい金子処方箋の無力さ/第2節 いま、資本主義に問われているのは何か 1.アメリカ資本主義にとって、何が問われているのか 2.答えられないとすれば、資本主義はどこへ行くのか 3.グローバルキャピタリズムは、新産業革命の媒介物か? 4.新産業革命は、新資本主義の登場を意味するか?/第3節 ドル体制実質的崩壊と新産業革命―資本主義一般の最終段階か、中国・アジア資本主義の新段階の開始か/1.宇野段階論の現代的有効性はどこまでか?/2.宇野段階論の再検討/3.パクス・アメリカーナ論の検討/4.20世紀を今日的にどう総括するか
第4章 ??「中国発デフレ」が幕開けした21世紀の展望―新産業革命を基盤とするアジア分業関係と為替体系再編の開始/第1節 「日本デフレ」の原因は、デフレ・スパイラルか世界経済の構造変動か?/1.「日本デフレ」に対する二つの解釈 1 日本金融資産バブルとその破綻の歴史的結果 2「日本デフレ」は日本経済の内部要因か、世界市場要因か/2.デフレ・スパイラル説の検討 1 一般物価デフレは貨幣的現象か 2 企業間信用売買と支払手段としての貨幣の重要性 3 一般物価デフレと金融資産デフレの区別と関連 4 マネタリスト的マクロ経済学による「日本デフレ」論の誤謬/3.「日本デフレ」構造問題原因説の検討 1 日本製造業の構造改革の遅れ 2 日本経済のサービス経済化による経済発展は可能か 3 日本の戦後体制の無力化による「危機の時代」の登場 4 21世紀世界情勢の基本的要素の登場/第2節 ?「中国発デフレ」が示す世界市場の新たな焦点/1.新産業革命を基盤とする中国・アジア経済の発展 1 集積地内部の水平分業を通して発展するアジア経済 2 堺屋太一の「工程間分業」論の意義と限界 3 その今日的焦点は何か/2.現代産業システムの特徴は何か 1 現代産業システムの特徴、分散・並列・ネットワークシステム 2 現代産業の再編の焦点は何か?/3.「中国発デフレ」と「中国における新産業革命」 1 「中国発デフレ」論の登場 2 「中国発のデフレ」が変化させる日中経済関係 3 新産業革命を基盤とする中国産業の拡張再編と過当競争 4 中国市場における流通再編の進展と「中国発デフレ」/4.中国市場再編は、華僑経済圏の対外的再編に進む/第3節 明日の「超大国」中国の台頭が開幕した21世紀の世界/1.明日の「超大国」中国の登場とその展望/2.米・欧・日、旧資本主義の停滞/3.アジア分業関係と世界市場の再編
第5章 ?中国産業の拡張再編からアジア産業・世界産業の再編へ―中国産業の拡張再編の進行と中国自動車産業の起動の意味/1.21世紀の幕開けと『中国発デフレ』以後の局面の特徴 1 中国貿易の拡大と「中国発素材インフレ」の局面の特徴 2 パソコン産業・IT産業の中心的生産基地となった中国 3 中国自動車産業の起動 4 中国産業の多層性とその新たな区分の必要性/2.中国製造業の急速な拡張・再編成による国内市場の発展 1 世界市場としての規模を持つ中国国内市場 2 中国市場とアメリカ市場の国際市場としての同質性と異質性 3 中国産業と周辺諸国産業との分業関係/3.「中国発デフレ」と「中国発素材・エネルギーインフレ」の並存 1 中国素材産業の独自的起動と「中国発素材インフレ」 2 中国素材・エネルギー・産業の浪費性と環境破壊 3 世界最大の中国石炭産業の拡張/4.中国・アジア資本主義の歴史的特異性 1 素材産業の中国・アジアへの集中の歴史的特異性 2 基軸国の基軸産業という域を超えた現代産業の生産力の質 /5.日本製造業に対する中国製造業の新たなインパクト 1 日本製造業の中国における存在感の無さと「反日運動」 2 日本の「知財立国」路線の空洞化 3 日本製造業への中国製造業の新たなインパクト/6.日中貿易の現状と日本の部品・素材輸出への急激な変化 1 日本の対中輸出の特徴 2 対中輸入の製品輸入への変化 3 巨大資本主義国中国の対外貿易の全方位的拡大/7.中国経済は危機に直面しているか―関志雄の見解を例として  関の中国「巨大市場は妄想」論 2 世界最大の実験市場となっている中国市場 3 不動産バブルの破綻は中国経済を破綻させるか 4 中国内陸部の経済発展と経済格差/8.1990年代のIT革命と現在の「新情報革命」の質的差 1 パソコンとディジタルAV製品の技術の違い 2 アメリカで売れる時代から中国市場で売れる時代へ 3 ディジタル景気は、ディジタル家電から自動車部品へ 279 /9.IT革命による流通業・自動車産業のネットワーク化 1 IT革命と流通業・自動車産業 2 自動車産業の分散・並列・ネットワークシステム化の開始 3 分散・並列・ネットワークシステム化と中国自動車産業 4 製造業の基盤としての中国工作機械工業の拡大/10.中国巨大資本主義の登場と人民元の過小評価の是正 1 ドルのアジア化から為替バスケット体制へ 2 地域基軸通貨のバスケットを前提とした世界市場企業の活動 3 人民元の過小評価の是正と米中相互依存関係の進展 4 人民元切り上げを阻む中国の古い自己認識と国内的構造問題 5 中国巨大資本主義の登場に直面する日本産業の課題

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