「愛国心」の研究

  • 柿沼 昌芳, 永野 恒雄
  • 価格 2100円
  • 判型:A5判、248ページ、並製
  • ISBN 978-4-8265-0390-7
  • ISBN 4-8265-0390-3
  • 初版発行年月 2004年02月
  • 発売日 2004年02月25日
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内容紹介文

「新しい歴史教科書を作る会」が主唱する「愛国心」の内実は、小林よしのり氏の漫画に見られるように矛盾だらけの捻れた「反米・愛国ナショナリズム」に過ぎない。日本人が普通に持つ家族愛や郷土愛、地域愛といったものが、いつの間にか「国家」への「愛」に変質され、「忠誠」へとすり替えられる。このまやかしは今に始まったことではなく、戦前・戦中の学校教育の変質と同根であり、戦後民主教育もまたその捻れを突き破ることができなかった。国旗・国歌法の制定から『心のノート』へ、そして今、新自由主義の風潮が高まる中で特別支援教育の名の下に子どもたちの選別が始まろうとしている。現場教師による『愛国心』研究の緊急レポート。

目次

●まえがき

□第1部 〈対談〉なぜ今、「愛国心」なのか
 斎藤貴男+永野恒雄+柿沼昌芳(司会)
若者とナショナリズム/イラク派兵の「大義」/新自由主義と国家主義はセットである/「国」を愛するとはどういうことか/ナショナリズムと排外主義/文化ナショナリズムと政治ナショナリズム/敗戦とネジレ/日本という国の悲しさ/東京都の教員管理/今、教師に何ができるか/高校紛争と校内暴力/教育に対するマッカーシズム/自衛隊・徴兵制・マスコミ

●序 章 イラク戦争と愛国心
自衛隊はアメリカの属兵か/湾岸戦争とイラク戦争/「愛国心」をめぐる今日的状況/「愛国心」をめぐるネジレ/自由主義史観の生い立ち/戦中の日本とフセイン政権/フセインをめぐる藤岡・板倉論争/踏絵を踏む教師、踏ませる教師


□第2部 学校の中の愛国心

● 第1章 最近の「日の丸・君が代」の状況?東京都の「新実施指針」をめぐる状況
一二月二三日の教育委員会の事/「日の丸・君が代」対策本部の設置と天皇制ファシズムの復権/一○月二三日に出された都教委の「新実施指針」の異常さ/戒厳令下の周年行事校/人権侵害の都教委指導―不起立・退場者など違反者が続々/「予防訴訟」に立ち上がろう!

● 第2章 一教員の体験から?学校・教育行政・保護者住民と愛国心
一九七四年から一九八三年、足立区/一九八三年から一九九三年/市民の動き/一九九三年から二○○二年 中野区/一九九九年国旗国歌法?教員への処分スピードアップ

● 第3章 『心のノート』に見る「愛国心」
「愛国心」を学ぶ「心の教科書」/『心のノート』の構成から―〈帰属意識〉の同心円的な拡大/『心のノート』中学校版における「愛国心」を分析する/「愛国心」と「自国の文化だけ、自国の特徴だけの強調」/『心のノート』による「愛国心」教育の実際/『心のノート』作成協力者会議の河合隼雄座長と「愛国心」・ナショナリズム

● 第4章 高校生の愛国心・その断面
授業の中で/高校生の愛国心/「愛国心」をめぐる教育の動向と高校生/愛国心教育と高校生

● 第5章 沖縄と「日の丸・君が代」
沖縄(県民)のこだわり/沖縄における「日の丸・君が代」問題/これからの「日の丸・君が代」問題

● 第6章 エスニック・マイノリティの子どもたちとナショナリズム?多文化教育の可能性
エスニック・マイノリティの子どもたち/エスニック・マイノリティの子どもたちにとってのナショナリズム/多文化教育の可能性


□第3部 愛国心とは何か

● 第7章 若者のナショナル・アイデンティティと歴史認識
二つの疑問を軸に据えて/教育基本法の空洞化をめぐって/植民地支配民族の「名誉ある地位」/東北アジアの共存・共生のために

● 第8章 反米愛国と親米愛国
戦後、封印されていた〈反米愛国〉/湾岸戦争という経験/反米愛国か親米愛国か

● 第9章 愛国心とナルシシズム
私のナルシシズム/岡潔と三島由紀夫/愛国心と愛校心/万能感とナルシシズム/ナルシシズムを超えた愛国心

●第10章 敗北のなかの愛国心
愛国心について/愛国心とは何か/日本兵捕虜は何をしゃべったか/日本兵捕虜における敗北の構造/なぜ進んで情報を提供したのか/敗北の中の愛国心/おわりに―敗北空間としての戦後日本

●第11章 市民生活の中の愛国心
ああ、日の丸・君が代/「愛国」の来た道/一九三○年代の生活/「国ヲ愛スル心ガ人ヲ殺ス」/今、再び/どうして戦争に協力してしまったのか/「貢献」とは何なのだ/「無形の財産」/この国の一員として

● 第12章 共同体主義と愛国心
社会を歪めた戦後教育/共同体主義の政治哲学/共同体主義とナショナリズム/国家共同体と戦争


□第4部「愛国心」の教育史

●第13章 学徒勤労動員と愛国心教育?中学時代の体験から
我らのにがい中学校生活/授業を抛って勤労動員へ/生徒を動員に駆り立てた思想と政策/今思う、これからの青少年は

●第14章 沖縄の一女性の学校生活誌?戦時体制下の教育を中心に
一少女の「少国民」形成の過程/貧しい生活と長女・初子/小学校入学と全校朝会/御真影と教育勅語について語る/合同訓練・行軍と勤労奉仕について語る/心に残る兵隊さんのお話―寛平君と柿/平良家に忍び寄る戦時体制/初子にとっての沖縄戦

●終章 学校教育が“育む”愛国心

●あとがき

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